2023 Fiscal Year Research-status Report
「疑似的な被爆体験」の形成史:原爆投下候補地横浜・新潟・京都の歴史社会学
Project/Area Number |
23K18852
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鈴木 裕貴 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (50983293)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 被爆地 / 原爆投下候補地 / 被爆体験 / 平和教育 / 被爆者運動 / 原爆報道 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第二次大戦末期に米軍の原爆投下候補地とされた神奈川・京都・新潟の三県において、広島・長崎とは異なる「疑似的な被爆体験」がいかに形成されてきたか、同地の被爆者運動や平和教育、その他原爆報道の実態解明などを通し、明らかにしていくことである。 本研究初年度では、神奈川・京都・新潟の三県における原爆関連資料の基礎的な収集作業を遂行した。主に神奈川県立公文書館、川崎市公文書館、京都府立京都学・歴彩館、新潟市文書館などで、各県内に残る行政文書を調査し、三県での被爆者援護施策および原水爆禁止運動の実態解明を試みた。広島・長崎に残る三県の運動関連文書の収集作業と合わせ、投下候補地における「疑似的な被爆体験」の形成過程を跡付けていくうえでの土台となるアーカイブズ構築を進めた。 また、「疑似的な被爆体験」に関連する事項として、以下二点の検討も進めた。第一に、三県と同じく投下候補地であった北九州との比較考察である。同市内で実施済であった資料館・被爆者団体等での各種資料調査結果をもとに、同じく原爆投下候補地であった上記三県との比較を試みた。第二に、模擬原爆が投下された愛知や滋賀での資料調査も行った。投下候補地と同じく「疑似的な被爆体験」とも言える模擬原爆の被害について、実態調査を進めてきた関係者にヒアリングを進めるとともに、その成果を、学芸員やアーキビスト、メディア関係者らとの合同シンポジウムで公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目(約半年間)は史資料の収集整理に重きを置き、三県および広島・長崎への現地調査と、そこでのインタビュー調査が予定よりは少なくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、1年目で収集を終えた基礎資料を土台とし、三県現地でのさらなる一次資料の収集および関連団体へのヒアリング調査を進める。おもに、三県の被爆者団体および平和教育団体へ聞き取りを実施するとともに、同じく三県での原爆報道に関する史資料収集を継続し、全体計画の完遂を目指していく。
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Causes of Carryover |
古書等の購入予定物品が一部品切れとなったことや、出張先関連団体との日程調整の関係で出張回数が予定より少なくなったため。 次年度では2023年度に予定しつつ繰り越しとなった現地調査も合わせ行うため、同出張旅費で繰り越し分を用いていく。
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