2023 Fiscal Year Research-status Report
1人1台PC及びクラウドを基盤とした協働学習における授業分析法の開発
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23K18863
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
村上 唯斗 横浜国立大学, 教育学部, 助教 (10981839)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 1人1台端末 / クラウド / GIGAスクール構想 / 協働学習 / 協調学習 / ICT活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
GIGAスクール構想により提供された1人1台のPC環境下で、クラウドベースの協働学習(Cloud-Based Collaborative Learning: CBCL)の具体的な実践方法とその効果について分析した。特に、個々の児童が自己調整しながら他者と協力して課題を解決する「調整的なCBCL」に注目し、これが児童の学習過程にどのように影響を及ぼすかを検討した。 小中学校の児童生徒を対象とした事例研究を行い、児童たちがクラウド上で利用可能な様々な学習支援ツール(ワープロソフトの共有機能、LMS、Chatツール等)を活用する様子を詳細に記録した。その結果、児童一人一人が情報収集の方法や学習の調整をどのように行っているかが明らかになった。例えば、教科書の情報を基盤に、単語の意味を検索する行為や、他者の作業領域を参照する行為が一人一人異なることが観察された。 この研究から、児童が個々の認知特性や性向特性に基づいて学習を自己調整することの重要性は以前から指摘されていたが、1人1台PCで他者とのコミュニケーションがこれまで以上に円滑に行うことができるようになったことで、より自己調整がしやすくなっている可能性が示唆された。また、調整的なCBCLが、児童の学習過程全体において協働や情報収集の質を向上させる可能性が示唆された。これらの知見は、今後の教育現場におけるクラウドベースの協働学習の授業分析法の開発に応用される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、分析する授業の特徴を明らかにするにいたった。今年度は、これらを用いて授業を分析する方法を検討し、開発する。
昨年度に得られた結果から、学習者1人1人の学習活動を記録する必要性が示唆された。従来学校現場において授業を分析するためには、研究授業の1時間が対象となることが主流な方法であった。しかし、調整的に学習する学習者の学習過程を分析するためには、中長期的かつ多面的な観点からの分析を行う必要があると考えている。
現在、研究協力を依頼した学校と、分析の手法について修正を行い、実施の計画を立てている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度明らかにした授業および学習過程の特徴を踏まえ、中長期的かつ多面的な授業分析の現実的な実施方法を検討する。最初から小学校や中学校の学校現場を対象とすることにはリスクが伴うことから、大学生を対象とした高等教育において試行することも新たに計画している。
学校現場に不足の事態が発生したときのことを考慮し、協力校を拡大するための働きかけも継続して行う。
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Causes of Carryover |
国外出張を予定していたが、都合により出張が困難になったため、旅費1回分の経費が残っている。 出張を今年度に持ち越し、再度日程調整の上予算を執行する予定である。
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