2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the effects of structural differences between Japanese and mathematical languages on the mathematization of phenomena
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23K18904
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
石川 雅章 愛知教育大学, 教育学部, 助教 (50983152)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 国語的読み / 数学的読み / 可能世界意味論 / 認知言語学 / 読解力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は「日本語(自然言語体系)と数学言語(数字や「=」など数学に固有な記号表現を用いて展開される言語体系)の構造差が事象の数学化に及ぼす影響を理論的・実証的に明らかにすること」である。 目的の達成に向け,令和5年度は「理論的アプローチ」,令和6年度は「実証的アプローチ」を中心として研究を遂行予定であった。令和5年度には,日本語と数学言語の関係を捉えるための記述的枠組みを構築しつつ,過去の実証データをもとに,その枠組みの妥当性を検証する活動を行うことができた。その意味では,完全に「理論的アプローチ」に傾倒していたというわけではない。現時点での研究の成果は,以下の通りである。 「否定」という思考に関する日常言語と数学言語の運用方法の違いに関するこれまでの取り組みを精緻化し,論文として投稿した。この論文では,日常的な思考が数学学習においてメリットにもデメリットにもなりうることを理論的・実証的に検証している。この取り組みに時間を要したことで,当初予定していた「中学校数学科4領域における日常言語と数学言語の関係」を完全に遂行することはできていない。実施できたのは「数と式」と「関数」の2領域である。 まず,「数と式」について「読解力」の視点から分析を行った。特に,「一次方程式」の読解場面において「国語的に読む」という行為と「数学的に読む」という行為が,どのように関わり合っているのかについて理論的に考察し,仮想的な学習者を想定しながら枠組みの記述性について検討した。その成果は論文として投稿中である。 次に,「関数」について「時制」の視点から分析を行った。正確には,まだ構想段階であるが「日本語と違って数学は時制の概念が捨象されやすいのではないか?」という作業仮説に基づきながら研究を進めている。6月を目処に理論的に精緻化し,学会等で成果を公表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要に記載の通り,「否定」に関する論考の成果を取りまとめるのに苦戦し,研究の進行が少しずつ後ろ倒しになったことで,中学校数学科の4領域すべての内容について分析を行うことができなかった。また,論文としてまとめたものが査読付き学術誌として年度内にパブリッシュされなかったことで,論文内で作成した理論的枠組みを用いた調査の見通しが現時点では立っていない。以上の理由から,「やや遅れている」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で構想段階にある「時制概念」の日本語と数学言語の相違について,詳細に分析し,学会発表・論文投稿を行う予定である(「関数」領域)。「数と式」領域の問題として「一次方程式」における言語的問題も実証データに基づいた分析を実施し,学会発表・論文投稿の予定である。
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Causes of Carryover |
使用額が生じた理由は「データ収集のための機材費」,「書籍費」,「学会遠征費」が大きい。 まず「データ収集のための機材費」について,次年度は問題を解決する過程を映像に捉えるためにカメラ等の備品を購入予定である。学校現場での撮影も想定した場合,カメラのスペック次第でデータから読み取れる情報量が大きく変化する。例えば,教室の後方から映像を撮影するとした場合,黒板上でのやり取りが見える程度にはスペックの高いカメラが必要であるため,この購入費に充てる予定である, 次に「書籍費」について,今年度購入しきれなかった書籍を購入予定である。 最後に「学会遠征費」についてだが,当初予定していた国際学会への参加は物価高の高騰の関係で断念する予定である。代わりに,国内の学会に参加し,研究成果を公表するとともに論文を執筆し,パブリッシュされた場合にはその印刷費として研究費を計上予定である。
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Research Products
(2 results)