2023 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症児者のスキル指導に用いる新たなモデリング技法の開発
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23K18924
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
西田 裕明 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (50976074)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | モデリング / アニメーションセルフモデリング / 自閉スペクトラム症 / スキルの獲得 / スキルの般化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自閉スペクトラム症児者を対象として行われたモデリング技法を用いたスキル指導を概観し、その成果と課題を検討し、課題に対応した新たなモデリング技法「アニメーションモデリング」の開発並びに活用することである。第1期と第2期では、従来のモデリング技法であるモデリング、ビデオモデリング、ビデオセルフモデリング、更に申請者が考案したアニメーションセルフモデリングを使ったスキル指導において、どのような効果があるのか、またその課題などについて検討した。モデリング技法については、先行研究からモデリング、ビデオモデリング、ビデオセルフモデリング共に対象の自閉スペクトラム症児のスキル指導に有効な結果が多くみられた。どのモデリング技法が最も効果的かは、対象の自閉スペクトラム症児によって結果が異なり、先行研究では明確に示されてはいなかった。また、VMを適用した実践の有効性が多くの研究で報告された一方で、効果が限定的であった論文が「アダルトモデル」「ピアモデル」「セルフモデル」の3種類とも見られたことも報告されていた。この3種類のモデルはビデオ教材を用いた観察学習で用いられているが、どのモデルが自閉スペクトラム症児に最も有効であるかは、先行研究では明確に示されてはいない現状であった。また、申請者が考案したアニメーションセルフモデリングは、掃除スキル、手洗いスキル、電話の応対スキルの獲得に効果が見られ、またスキルの般化も見られた。さらに、問題行動の抑制にも効果が期待できる結果が見られた。 これらの先行研究から、それぞれのモデリング技法を比較し、優劣を決めることはできず、個々の対象児の実態や発達年齢、好み、興味関心などに応じて適切なモデリング技法を選択し、モデリングの中に対象児の好みを取り入れることが効果的であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で示した1年目の調査(①先行研究と研究方法の検討(2023年4月から6月)、②モデリング、VMなどの先行研究の調査(第1期:2023年6月から10月、第2期:2023年11月から2024年3月)を順調に進め、さらに、アニメーションモデリングの開発まで進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究計画の2年目に実施予定の「アニメーションモデリングを使ったスキル指導(第4期:2024年9月から2025年1月)」に向けて、倫理審査や研究対象者の選出、指導場所の選定などを進めていく予定である。また、作成した「アニメーションモデリング」について、モデリング技法としての妥当性や新規性があるかなどについて、専門家に助言をいただき、さらによりよいモデリング技法の開発につなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は以下の通りである。旅費では、予定していた学会への参加が職務のためにできなかったことやベトナム出張の際に宿泊費がかからなかったためである。物品費では、当初計画にあげていたプリンタや書籍などを計画的に購入できなかったためである。今後は、アニメーションモデリングの事例研究を実施するために、対象児の行動観察のための機器購入やモデリングに関する書籍購入に使用する予定である。
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