2023 Fiscal Year Research-status Report
A Study on methods of reflection to promote a sense of political participation
Project/Area Number |
23K18962
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Research Institution | Shohoku College |
Principal Investigator |
加野 佑弥 湘北短期大学, その他部局等, 助教 (30980825)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | リフレクション / 政治参加意識 / サービス・ラーニング / シティズンシップ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はサービス・ラーニングにおいて政治参加を促す省察(リフレクション)の方法を明らかにすることにある。調査初年度の本年度は、政治参加意識を促す省察を実践するにあたっての課題を抽出することを目指した。 そのために研究代表者が継続的に調査を行っているA大学のサービス・ラーニングのフィールドにおいて、エスノグラフィーによるデータ収集を4回実施した。加えて、サービス・ラーニングに参加している学生への半構造化インタビュー調査を7回実施した。半構造化インタビュー調査では、複数年にわたってボランティアのフィールドに関与している学生の経時的変化を捉えることを試みた。 それらのデータを分析した結果、政治参加意識を促す省察の際に以下のような要点が示唆された。まず、学生にとっての「自身の役割」やボランティア実践現場における「場の意味」を問い直すことで、よりメタ的かつ深い視点からの多角的なリフレクションが生起することが示唆された。それに加え、「社会課題」や「社会構造」などを接合する更なる問いかけが必要であることが示唆された。他方、本研究では「エンパワメント」や「アドボカシー」といった初出の概念を持ち出すことで、学生の政治参加意識を促すことを試みたが、学生にとって馴染みのない概念であったため、それ以上のリフレクションに繋がらなかった。このことから初出の概念に言及する場合は、リフレクションより前の段階でそれについて丁寧に説明する必要があると示唆された。 なお、本年度の成果は、加野佑弥(2024)『大学における能動的シティズンシップ教育の導入:社会/政治参加へのセルフ・エフィカシー』法律文化社 の学術書籍としてまとめ刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のデータ収集はほぼ終了しており、データ分析の初期段階で政治参加意識を促す省察を実践するにあたっての課題と要点を見出すことができた。加えて、そこから政治参加意識を促す省察の方法への示唆を得ることができた。これらのように、本年度において予定していた調査と分析がある程度進行しており、本研究課題の結実に向け概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、本年度で明らかとなった政治参加意識を促す省察方法への示唆(課題と要点)を踏まえ、政治参加を促す省察の方法を検討したい。なお、その方法を検討する際には当初の予定通りID(インストラクショナル・デザイン)の観点に基づき議論を進めることを予定している。 このことに加え、本研究課題と類似したテーマを研究している研究者と共に、再帰性(社会的または間主観的なプロセスに対する内省を伴うもの)の観点からも政治参加意識を促す省察方法を検討したいと考えている。これは当初の研究計画にはなかった観点であるが、本研究課題を進める上で多分に有用であることからその観点も取り入れたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度は分析及び補足調査を実施することを予定している。そのため、分析ツール及び調査ツールを入手することを考えている。また、研究者の所属先が変更になり、研究環境に変化が生じたため、研究に必要な物品(パソコン等)を新たに購入することを計画している。
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Research Products
(3 results)