2023 Fiscal Year Research-status Report
子どものイルネス・アンサーテンティに着目した病棟保育士の支援可能性の検討
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23K18972
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 悠 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 助教 (00970641)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | イルネス・アンサーテンティ / 病棟保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児がんなどの重篤な疾患を経験する子どもへの支援を考える上で,子どもにネガティブな影響を与える要因として“イルネス・アンサーテンティ(Illness Uncertainty; 以下,IU)”という概念が注目されてきた。IUとは,病気や治療に関する情報の不足や過多により,個人が出来事を評価できない,もしくは結果を予測できず「わからない」と感じる状態のことを指す(Mishel, 1988; 1990)。本研究では,入院中の子どものIUを予防・低減する包括的支援の確立を目指し,入院中の子どものIUのリアルな様相,そして子どもの将来を見据えた成長発達の支援を専門とする病棟保育士が子どものIUの変容に与える影響を明らかにすることを目的としていた。 今年度は、病棟保育士の支援を理解することに特化して研究を行った。まず、入院中の子どものIUに多大な影響を及ぼしうる病棟保育士と医師との協働に関する論文が採択された。また、入院期間を超えた目標(子どもが大人になってから、子どもが亡くなる時に・・・等)をもつ保育士4名への追加面接を行い、病棟保育士の信念や働き、課題等を検討した。その結果、病棟保育士と類似他職種の違いや、環境を通じた保育について、改めて整理された。これまでに行った調査について、現在書籍としてまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた縦断調査を開始することができなかったものの、入院中の子どもの環境を構成する病棟保育士と医師との協働に関わる論文が採択され、病棟保育士への面接調査を実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査の結果をまとめながら、子どもがどのようなイルネス・アンサーテンティを経験しているのか、病棟保育士がどのようにその予防・低減・変容に関わっていくのか、再度検討する必要がある。今年度行った調査から、病棟保育士の人数が限られる中で、保育士が子どもに直接関わるだけでなく、さまざまなねらいをもって環境構成し、間接的に子どもに働きかけていることが示唆されている。このようにして病棟保育士作り出す環境も、また、子どもたちの入院療養中の見通し等に関わってくることが想定されるため、病棟保育士の影響可能性として、環境構成等も含めて検討したい。
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Causes of Carryover |
今年度、縦断調査を開始することができなかったため使用を控えた分であり、次年度調査の開始とともに使用する予定である。
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