2023 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の身体運動知覚時の身体運動表象の特異性の解明
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23K18980
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
黒田 尚輝 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 文部科研研究員 (20985585)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 身体運動表象 / 加齢 / 身体運動知覚 / 実験心理学 / バーチャルリアリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の身体運動表象が若齢者のものと異なることを示した従来の研究では,そのほとんどの研究が静止観察時での知覚の報告に止まる。そこで本研究は,バーチャルリアリティを用いて身体運動をシミュレートし,身体運動情報(視覚手がかりや,能動運動を駆動する脳からの運動命令および固有感覚手がかり)が高齢者の身体運動表象に与える影響を明らかにすること,高齢者の転倒リスクとの関連を示すことで転倒予防に有効な介入プログラムの考案へと展開することを目的としている。 本年度は,身体運動情報のうち視覚手がかりの影響について検討を行った。若齢者では,視覚手がかりがより豊富な状況では身体と外部環境の強い相互作用が見られる範囲(身体近傍空間)が拡大した一方で,高齢者ではその広がりに若齢者との差異が見られることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,身体運動情報のうち視覚手がかりの影響を明らかにすることを目的としており,またその成果報告ができたことから,「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を達成するためには,計画していた項目のうち,身体運動情報に含まれる能動運動を駆動する脳からの運動命令および固有感覚情報の影響を明らかにする必要がある。したがって,それらの影響を明らかにする実験を進め,成果を公表する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として,実験環境構築のための機器類が当初予定よりも安価に入手できた点が挙げられる。本年度は,前年度未使用額も含め,実験機材の調達,実験の実施,成果発表等に有効に利用し,高い成果を目指す。
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