2023 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between two types of narcissism, anger, aggressive behavior and adaptation
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23K18995
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Research Institution | Hijiyama University |
Principal Investigator |
神谷 真由美 比治山大学, 現代文化学部, 准教授 (70710078)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 自己愛 / 怒り / 攻撃行動 / 適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
怒り感情は表出しても,抑制しても,心身の健康や対人関係に負の影響を及ぼす感情であり,個々人の健康や適応,さらにより良い対人関係を形成するためにも,怒り感情を適切にコントロールする方法を考案することは重要な課題といえる。怒り感情の表出との関連が指摘される要因の一つに,自己愛がある。自己愛と怒り感情,攻撃行動と関連がみられるが,自己愛の側面によってその影響が異なることが示されている。そこで,自己愛と怒り感情や攻撃行動の関連を検討する際には,自己愛の諸側面を詳細に検討する必要がある。現在の自己愛研究の領域では,自己愛は誇大型と過敏型の2類型から捉えられているが,わが国においては文化的背景から,過敏型自己愛が表れやすく,不適応の指標とも関連がみられており,「過敏型自己愛」を考慮する必要がある。自己愛の誇大型と過敏型では,怒り感情の表出や攻撃行動のとり方に差異があると考えられるため,自己愛の2類型を考慮し,怒り感情や攻撃行動,適応との関連を検討する必要がある。 以上から,本研究の目的は2類型の怒り感情の表出や攻撃行動,適応のメカニズムを理解することである。研究1では,自己愛の高い者が怒り感情を生起させやすい場面を選定する。研究2では,研究1で選定した場面からシナリオを作成し,場面想定法により自己愛の2類型と,怒り感情,攻撃行動,適応の関連を検討する。 2023年度は,比治山大学の研究倫理審査において研究1について承認が得られた。その後,Web調査の実施を行った。調査対象は青年・成人有職者であった。調査内容は,この1年間で,職場で最も怒りを感じた出来事(自由記述),対象,その出来事に対する怒り感情,怒り表出反応,自己愛傾向であった。325名のデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究実施計画は,研究1のアンケート調査を実施することであった。研究計画通り,年度内に調査が実施できたため,おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究1のデータを分析し,シナリオを作成する。作成したシナリオをもとに,研究2で,場面想定法により自己愛の2類型が,怒り感情,攻撃行動,適応におよぼす影響を検討する調査を実施する。
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Causes of Carryover |
Web調査の費用が予算よりも安価で済んだことと,大学行事や個人的事情で学会への参加が当初の予定よりもできなかったため次年度使用額が生じた。今年度は,国内外の学会へ参加して情報収集を行ったり,本研究で得られた知見を発表を行う。
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