2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K18996
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐藤 文昭 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 特別研究員 (90980904)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 睡眠 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠の質はさまざまな脳機能に幅広く関与し生活の質にも直結する問題である.しかし,ヒトでは計測の技術的制約により,何が睡眠の質を決定するのかといったメカニズムはほとんど明らかでない.近年の複数の研究は,脳幹にある青斑核と呼ばれる小さな神経核の活動が,睡眠の質・内容を決定することを示唆し,睡眠制御において重要な役割を果たす可能性が高い.そのため本研究では,磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging:MRI)と脳波の同時計測を実施し,ヒトにおける睡眠中の青斑核の活動を非侵襲計測するための技術を構築することを目的とした. 本年度は,超高磁場MRI (7T MRI)の利用のために,ヒト計測に関わる安全検査の実施,実験装置のセットアップ,MRI内の温度検査などを行った.また,7T MRIと脳波の同時計測実験を実施し,予備実験データについて取得した.このデータを解析することにより,脳の解剖学的な構造を確認する際に一般的にしばしば用いられる全脳撮像時のT1強調画像によって,青斑核の位置がどの程度同定できるか確認した.その結果,事前に予想していた通り,全脳撮像時のT1強調画像での青斑核同定は難しいことが実際の計測データより確認できた.そのため次の段階として,先行研究で用いられていたMT-TFLシーケンスを用いた実験を実施する予定であったが,理研7T MRIの環境下では利用することが困難であったため,別の手法を検討していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MRI内の温度検査などを行い,計測準備が進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
上記で述べたように先行研究で用いられていたMT-TFLシーケンスを用いることを予定していたが,理研7T MRIではうまく機能しなかったため,別の手法を検討していく.具体的にはT2*強調画像やその他の手法(例.quantitative susceptibility mappingなど)を使用することを検討していく.
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Causes of Carryover |
当初想定していたMRIシーケンスが理研7T MRIでは使用できなかったため,シーケンス選定に時間がかかった.そのため,謝金およびMRIのスキャン費用が発生する外部被験者を対象とした実験は実施せず,その分の費用を次年度に繰り越した.繰り越した経費は実験の謝金およびMRIスキャン費用,実験機材購入費,実験消耗品費に使用する予定である.
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