2023 Fiscal Year Research-status Report
特異ランダム行列の固有値分布論の発展とその統計的応用
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23K19015
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
清水 康希 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 助教 (00981325)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 主成分分析 / ラプラス近似 / スパイク固有値モデル / 超幾何関数 / Stiefel 多様体 / ランダム行列 / ウィシャート分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
変数の数がサンプルサイズを上回る状況において,主成分分析の推測の議論で重要となるウィシャート行列の固有値の近似分布の導出を行なった.特異なウィシャート行列の固有値の同時確率密度関数には,行列変量を引数にもつ超幾何関数が含まれており,確率密度関数の数値計算を行うことは困難であることが知られている. そこで,本研究では,固有値の同時密度関数に現れる超幾何関数にラプラス近似を適用し,同時密度の近似を与えた.さらに,母共分散行列がスパイク固有値を持つ状況において,固有値分布のカイ二乗近似が得られることを示した.シミュレーション実験の結果,特に最大固有値分布に対しての近似が優れていることが分かった.これらの結果を2標本問題における固有値の同等性検定に応用した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で述べた通り,変数の数がサンプルサイズを上回る状況で固有値の近似分布を導出することができた.得られた成果を論文として発表することができたため,本研究課題の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
変数の数がサンプルサイズを上回る状況で,ウィシャート行列に関する固有値分布の導出を引き続き行う. 特に,2024年度は,正規性の仮定を緩めた場合で研究を進めていく予定である.関連研究の動向を把握するために学会に積極的に参加し,意見交換や情報共有を行いながら研究を発展させていく.
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Causes of Carryover |
物品の購入費を抑えることができたため.繰越金は,次年度の研究費とあわせて国内外の出張費に使用する予定である.
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