2023 Fiscal Year Research-status Report
Developing a theory of general quantum process manipulation and its application
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23K19028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 隆司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (90984550)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 量子情報理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、量子プロセスの変換性の具体的な問題として、まず量子コヒーレンスの変換可能性の特徴づけの研究を行なった。量子コヒーレンスは量子熱力学やquantum metrologyで有用な量子特徴量であり、物理的に許される操作によってどの様に量子コヒーレンスが変換できるかを明らかにするのは重要な問題である。本研究では特に「触媒」と呼ばれる、状態変換を手助けする量子状態を許した時に、どの様な量子コヒーレンスの変換が可能かを解析した。その結果、触媒の状態と注目系の間に相関を許した場合、任意の量子コヒーレンスの変換が可能となることを示すことに成功した。 次に、量子プロスセスの一般的な性質を解析するため、一般量子リソース理論の操作的特徴づけの問題に取り組んだ。量子的特徴量の有用性を理解する上で、与えられた量子状態等がどの様なタスクにおいて有用なリソースとして働くかを明らかにするのは根本的な問題である。先行研究により、凸リソース理論と呼ばれるクラスのリソース理論については、全ての量子状態および量子チャネルが何らかの識別問題に有用であることが示されたが、リソース理論が凸でない時にどの様にその結果を拡張できるかは大きな問題であった。本研究ではこの問題を解消し、一般のリソース理論における任意のリソース状態およびチャネルについて、それが有用となるチャネルおよび状態識別問題が存在することを証明することに成功した。これは、これまで知られていた結果を、凸とは限らない任意のリソース理論に拡張し、適用範囲の一般性を大きく広げるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、具体的なリソース理論の変換性の問題と一般量子リソース理論における操作的特徴づけの問題の双方から量子プロセスの特徴づけに迫ることができたことより、期待される成果が達成されているいと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は具体的な物理的な状況から洞察を得て、一般性の高い操作的特徴づけに還元するということをより推し進める。例えば興味深い設定として、マジック状態蒸留や量子熱力学における仕事の取り出しの解析などが考えられる。また、量子誤り抑制、量子誤り訂正をノイズつきプロセスの変換と捉えることで、量子プロトコルの原理的な限界に迫ることを目指す。
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