2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K19054
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
地村 幹 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 研究職 (50986396)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 大強度加速器 / ビーム力学 / 空間電荷効果 / エミッタンス操作 / 電磁石 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常の加速器では線形磁場によってビーム収束を行うが,本研究では非線形磁場を加えることによってさらに高度なビーム輸送を実現する。ビーム自己場は一般に非線形場を含み,ビーム形状の変化の影響を受けるため,非線形磁場のみならず線形収束場の最適化も同時に行わなければ,非線形場を適用したことによる利点を享受することができない。以上により,本研究では線形収束系と非線形場を統合した最適なビーム輸送系を実現する一般的な方法を確立することを目的とする。よって,収束系最適化法の理論的確立及び実加速器への適用可能性の実証を行うことによって目標の達成を目指す。 令和5年度では,非線形ビーム力学に基づく解析計算と計算機を用いた数値計算によって,非線形場によるビーム輸送理論を対象とした研究を進めた。ビーム輸送路に非線形場を適用する際には,適切に非線形場の位置・強度・数を決定しなければ,非線形場を用いないビーム輸送よりもビーム品質を悪化させる可能性がある。これまで,これを解決するには総当たりによる最適値の発見をする他にない。よって,令和5年度における研究では,非線形場を含む自己場を受けながら運動するビームの運動方程式を提案し,その運動方程式を数値計算に実装した。さらに,既存のビーム計算コードと本数値計算プログラムの比較によってその有効性を実証した。以上の成果によって,非線形ビーム力学への学術的な寄与と,加速器のさらなる大強度の実現が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度では,非線形場を受けながら運動するビームの運動方程式を提案した。さらに,計算機を用いた数値計算に実装することに成功し,期待した結果を得ることができた。以上から,令和5年度に達成された内容は,概ね研究計画に沿ったものであり,順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度には,令和5年度に行った理論モデルの特性理解を進め,新たな知見を得るとともに,実加速器への適用可能性の検討を進める。理論モデルからの要請から,既設のモニターから必要なビーム情報を抽出する手法を確立する。そこから,非線形ビーム輸送を行った場合にビームパラメータにどのような応答が得られるか検討し,ビームモニタに対する要請を明らかにする。
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Causes of Carryover |
令和5年度に購入した研究用計算機が当初計画よりも安価に購入できたため,差額が次年度使用額として生じた。本未使用分は令和6年度の研究費と合わせて,実機を用いた研究のために必要となる消耗品等及び環境整備のための費用に充てる。また,予定していた学会発表の参加を取りやめたため,旅費に充てることを予定していた分の次年度使用額が生じた。旅費に関する未使用分は,当初の予定通り令和6年度に使用することとする。
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