2023 Fiscal Year Research-status Report
内陸の非火山地帯で発生する深部低周波地震の発生メカニズム解明:Big data×深層学習
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23K19061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 慎也 東京大学, 地震研究所, 特任研究員 (60984523)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 深部低周波地震 / 深層学習 / Vision Transformer / イベント検出 / 震源決定 / 発震機構解 |
Outline of Annual Research Achievements |
内陸の非火山地帯で生じる深部低周波地震の発生メカニズムを解明するため、今年度は深層学習を用いた検出手法の開発に着手した。これまで、深部低周波地震のような低周波イベントを検出するためには、類似波形探索手法や深層学習が用いられていた(Shelly et al., 2007; Nakano et al., 2019; Kurihara and Obara, 2021)。類似波形探索手法は事前に作成されたテンプレートを基に検出を行うため、新たな地震波形に対応する能力には限界がある。一方、深層学習を使用した手法では、単一観測点の地震波形のランニングスペクトルから低周波イベントを検出していましたが、微弱な振幅を持つ低周波イベントを検出するには、複数の観測点から得られる波形の同時特徴抽出がより効果的である。
そこで本研究では、従来の類似波形探索手法よりも柔軟に深部低周波地震の波形を検出が可能で、複数の観測点から得られた地震波形を入力として受け入れることができる深層学習モデルを開発した。このモデルには、複数観測点で得られた地震波形を2次元データとして入力しているため、複数の観測点から得られる波形情報を基に波動場を学習することが可能となる。モデル構造には、入力データの全体的な特徴を効果的に抽出できるVision Transformerを採用した。このモデルは、深部低周波地震の検出だけでなく、入力されたデータが通常の地震波形、深部低周波地震の波形、またはノイズのいずれであるかを分類することができる。このモデルの識別精度は約98%と非常に高く、優れた性能を有するモデルを開発することがでた。また、開発したモデルは、このモデルがデータのどこに注目しているかがattention mapによって可視化ができ、モデルの説明可能性が向上している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連続波形からmoving windowで波形を切り出し、そこに深部低周波地震が含まれているかを識別する深層学習モデルが開発できた。次年度は、この結果をもとに内陸の非火山地帯で生じる深部低周波地震の発生メカニズムの考察を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、開発した深部低周波地震を検出する深層学習モデルに関する研究成果をまとめて学術雑誌への投稿を行う。また、投稿に際して深部低周波地震のカタログや深層学習モデルをgithubなどに公開する。
次に、検出された深部低周波地震の震源決定と発震機構解の推定を進め、内陸の非火山地帯で生じる深部低周波地震の発生メカニズムの考察を進める。
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Causes of Carryover |
データ保存用の外付けHDDの購入を計画していたがデータ保存先の期間がHDDを貸与していただいため予算が余った。また、英文校閲費用は他の経費から支出していただいたため予算が余った。
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