2023 Fiscal Year Research-status Report
Temporal variability of energetic turbulence caused by the Kuroshio-seamount interactions in Tokara Strait
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23K19062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 杏 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (20982341)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 海洋乱流 / 黒潮 / 流れ-地形相互作用 / 係留観測 / EM-APEXフロート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、トカラ海峡における黒潮-海山相互作用に伴って生じる、非常に強い乱流の時間変動を調べることを目的とする。海洋乱流は、密度成層した海水を鉛直混合させるため、物質循環・水塊変性・深層海洋における成層や循環の維持に重要な役割を果たす。海洋乱流の時間変動に関して未だ観測的知見は不足しているが、「非常に強い乱流混合が生じるのは稀である」という乱流の性質から、乱流混合が大規模場に与えるインパクトを正確に評価するためにも、強乱流イベントがどのような頻度で、どれくらい継続して生じるのかを定量化することが必要である。
本年度は以下の成果・進展が得られた。 (i) 本研究に先駆けて進めていた、トカラ海峡・平瀬海山で実施したフロート観測の成果をまとめた論文が受理された。本論文では、海山近傍に10基の高速水温計付EM-APEXフロートを投入することで捉えられた、海山下流側20km以上にわたって広がる強乱流層に関して、波追跡シミュレーション・流れ場の鉛直波数スペクトル解析を実施し、強非線形な黒潮-海山相互作用の性質・適切な乱流パラメタリゼーションについて議論した。
(ii) 平瀬海山斜面に設置した係留系による流速・水温・塩分の6ヶ月間の時系列データの解析を進めた。係留系で捉えたシアー不安定・対流不安定の時系列にパラメタリゼーションを適用することで乱流強度の時系列を得た。それをもとに強乱流の統計分布、周波数スペクトル、黒潮や潮汐の時間変動との関係について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に先駆けて進めていた研究について論文を出版することができた。また、2023年度に予定していた係留時系列のデータ解析を進め、2024年5月には学会発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
平瀬海山近傍で実施した高速水温計付EM-APEXフロートのデータを用いて、(i) シアー/対流不安定層の空間分布や (ii) 乱流パラメタリゼーションによる推定値と乱流直接観測値の対応関係を調べることで、係留観測データを補強する。また、2023年度に進めてきた係留観測のデータ解析結果について、先行研究での観測結果や理論との比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
米国で開催される国際学会 (Ocean Sciences Meeting) にて研究発表を予定していたが、体調不良により渡航を断念したため、その分の旅費が余ってしまった。2024年度には共同研究者のいるシアトルを訪問し、議論を行う予定である。
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[Presentation] Temporal variation of energetic turbulence on a seamount flank in Tokara Strait2024
Author(s)
Anne Takahashi, Ren-Chieh Lien, Eric Kunze, Anda Vladoiu, Barry Ma, Hirohiko Nakamura, Ayako Nishina, Eisuke Tsutsumi, Ryuichiro Inoue, Takeyoshi Nagai, Takahiro Endoh
Organizer
日本地球惑星科学連合2024年大会
Invited
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