2023 Fiscal Year Research-status Report
全地球水循環の解明に向けた深部マントル由来物質中の水とそのキャリア物質の探索
Project/Area Number |
23K19063
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横倉 伶奈 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (80985523)
|
Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
Keywords | マントル捕獲岩 / ハロゲン元素比 / 希ガス同位体比 / 流体包有物 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋プレートの沈み込みはマントル以深に水を運搬すると考えられる唯一の経路であり,水は地球内部物質の流動を促進する効果が高いためその挙動は固体地球の進化に多大な影響をもたらす.近年,海洋プレートに含まれる水が地球深部であるマントル遷移層以深や核マントル境界へ到達する可能性が示唆されるが,「水と,水を地球深部まで運搬可能な具体的なキャリア物質」の物質的証拠は存在しない.したがって深部由来物質に関わる可能性の高い天然試料から水のキャリア物質の情報を得ることは沈み込んだ水の行方を解明することに向けて貴重な制約を得る可能性がある. 水を運搬可能なキャリアとして可能性が考えられている物質の判別のためにはマントル物質が保持する揮発性成分のうち希ガスの同位体比と,それに加えてハロゲンの元素比の組み合わせが有効と考えられる.本研究では地球深部から上昇した物質の影響が想定される地域で産出したマントル物質であるマントル捕獲岩中に存在する包有物群において,ターゲットの深部由来成分を含みうる包有物を判別・抽出し,そして水と水を運搬するキャリア物質について判別可能な「ハロゲン元素比測定」を組み合わせて沈み込んだ水の存在とそのキャリア物質を探索することを最終的な目的とする.現在は捕獲岩中の特定包有物の抽出実験の前段階として捕獲岩を構成する鉱物がそれぞれ保持するハロゲン元素比の測定を行っており,そのデータを分析中である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度の後期から科研費の交付が行われたが,今年度から別の大学へ異動となり,物品の購入や実験の時期が遅れている.
|
Strategy for Future Research Activity |
厚片サンプルから包有物の形状データの収集を進め,特定包有物のハロゲン元素比測定用のサンプル制作と測定を推進する.
|
Causes of Carryover |
交付が開始した令和5年度後期に異動が決定し,機器の購入計画が実施できなかった.今年度に執行する予定である.
|