2023 Fiscal Year Research-status Report
深層強化学習による2脚移動ロボット身体に備わる知能の最適化
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23K19101
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
顔 聡 立命館大学, 理工学部, 助教 (50979482)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 歩行ロボット / 身体性 / 制御工学 / 歩容生成 / 非線形力学 / 準受動歩行 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、2脚歩行ロボットが地面環境との相互作用の自然なダイナミクスを合理的に利用し、ロボット自身の身体性を活かし、エネルギー効率が優れた安定歩容生成を目的として、研究を行なった。 ロボット身体に備わる知能(Embodied intelligence)を最大限に引き出すために、重力作用と小さな駆動力から自然で効率的な歩容生成法を提案し、定常周期フィードフォワード入力で駆動される能動的揺動質量をもつリムレスホイールおよび厳密な目標軌道追従で歩容生成を行う劣駆動リムレスホイールの解析を通して提案手法の有効性を確認した。特に両腕をもつシンプルな3自由度の歩行モデルの解析を通して、水平路面での歩容生成が安定となることが示された。両腕の異なる揺動効果に伴いロボットの歩行性能に大きく影響するようになり、身体性を生かせる傾向が強まることが明らかにされた。 また、厳密な数学モデルと精密な数値解析を通して考察した歩行ロボットの基礎的な運動特性に基づき、ロボット身体性を最適に設計することが可能となる。その中で、エネルギー効率の観点から、リミットサイクル歩容生成可能な制御入力の最適化方法を確立した。多自由度系への拡張として膝関節を有する2脚歩行系について考察し、理論的には導出可能な解析解の現実的解法について検討した。 更に、新しい研究環境で歩行ロボットの実験環境を整備することができた。身体性を活かせる歩行ロボットを開発し、準受動歩行実験の基本データの取得を行った。これを受けて、ロボット身体構造の改良や路面との相互作用の合理的な利用方法についても検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに、一年目には身体性を活かした2脚歩行ロボットの数理モデルを構築し、数値シミュレーションによってロボットの動特性を観測することができた。同時にロボットの実験機を開発し、実機実験を行い、シミュレーション結果の妥当性を確認した。これらの成果を学会で発表し、実機の開発と基礎実験結果に関する論文は学会賞を受賞することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
準受動歩行の長所を最大限に生かし、身体性を活かしたエネルギー効率の高い歩行制御手法の確立を目指す。リミットサイクル歩容生成の最適化に加え、関節トルクやモータ特性など、ハードウェア設計の観点からもエネルギー効率を追求する。また、これまでの準受動歩行実験を通して、歩行機の身体構造や地面との衝突から持つ不確定な微小振動が歩容の収束特性に無視できない影響を与えることが明らかにされた。実験機が示す複雑な収束特性を合理的に説明するための微小振動の簡易モデルを構築すべく、数値解析による歩行特性の解明と、実機による歩行実験データを組み合わせることで、理論と実験の乖離を最小化し、高い汎用性と信頼性を備えた歩行ロボットの開発を進める。
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