2023 Fiscal Year Research-status Report
複数の薄板軽量形鋼をねじ接合した組立部材を対象とする設計法の構築
Project/Area Number |
23K19163
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
小橋 知季 千葉工業大学, 創造工学部, 准教授 (90980996)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 薄板軽量形鋼 / 曲げ座屈 / 鉄骨造 / ドリルねじ / リップ溝形鋼 |
Outline of Annual Research Achievements |
薄板軽量形鋼は板厚2.3mm未満のめっき鋼板から製造される鉄骨部材である。部材の軽さを活かし、従来の鉄骨造よりも軽い建物を設計することが可能であり、省材料と高施工性の両立をした鉄骨建物への応用が期待される。近年、薄板軽量形鋼を適用する建物の規模が大きくなったことで、ドリルねじを用いて形鋼同士を一体化させた組立材の活用事例が増えている。しかし、ドリルねじ接合された組立材に対する設計技術は未だ成熟しておらず、ねじによる一体性を無視した不経済な部材設計を余儀なくされている。本研究では、この組立材に対する合理的な設計法の確立を目的とし、ドリルねじによる一体性を考慮した組立材の部材耐力評価手法を構築し、構造実験を通じて提案手法の妥当性を明らかにすることを目的としている。 初年度は、2軸対称の断面形状を有する組立材を対象とした軸圧縮実験を実施し、これまで構築を進めてきた組立材の設計法の妥当性検証を推進。弾性/非弾性の影響、局部座屈の影響、ゆがみ座屈の影響、の影響、組立材を構成する形鋼の個数、ドリルねじの本数に着目した実験を実施し、ゆがみ座屈による影響を受けない組立材では組立てによる効果が部材耐力にも顕著に表れること、対してゆがみ座屈による影響が著しい組立材では、組立てによる効果は殆ど期待できないことを明らかにした。また組立てによる効果が期待できる組立材について、本研究で提案する設計法によって部材の軸圧縮耐力を精度良く評価できることを明らかにした。 次年度は、本研究の対象を偏心圧縮が作用する部材に拡張する。薄板軽量形鋼では、金物を用いた接合仕様を有する場合も多く存在する。本研究で提案する設計法の適用範囲を組立材断面の図心と荷重の作用点が一致しない部材まで拡張し、より汎用的な組立材に対する設計法の構築に繋げる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度予定していた計画としては、「弾性座屈および非弾性座屈を生じる組立部材に関する検証実験」、「局部座屈による影響の定量化と設計法の提案」の2つである。 前者の弾性座屈及び非弾性座屈を生じる部材については、部材長さを変化させた実験を行い、弾性座屈を生じる場合、非弾性座屈を生じる場合の双方について、提案する設計法が有効であることを実験で明らかにしている。 後者の局部座屈による影響の定量化と設計法の提案についても、最大耐力に至る前に弾性局部座屈を生じる部材を対象とした実験を実施。弾性局部座屈を生じる部材であっても、提案手法に基づき最大耐力到達時に部材断面に生じる軸圧縮応力度を評価することで、有効幅理論に基づく部材性能の定量評価が可能であることを実験で明らかにしている。 以上より、初年度は、当初計画した目標を達成したものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、組立材の図心と荷重の作用点が一致しない部材を対象とした場合について、偏心曲げによる影響を加味した設計法の構築を推進する。本研究が提案する設計法の適用範囲を偏心曲げが作用する軸圧縮部材まで拡張すると共に、偏心圧縮が作用する組立材の構造実験を行い、提案する設計法の妥当性明らかにする。
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