2023 Fiscal Year Research-status Report
超高アスペクト比ポリマー構造体へのALDコーティング技術
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23K19176
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 潤 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (50985661)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 原子層堆積 / ALD |
Outline of Annual Research Achievements |
高精度3Dプリンタによるポリマー構造体形成と薄膜材料コーティングを組合せたデバイス作製は,3Dプリンタの設計・製作自由度の高さとコーティングによる機能付与により,各種の革新的なデバイス製造技術として期待できる。コーティング技術の課題として,ポリマー表面への製膜(薄膜との界面制御)および超高アスペクト比微細構造への均一製膜の難しさがある。本研究では原子層堆積法(ALD)に着目し,実験と計算を活用し表面化学・反応工学に基づく理論的プロセス設計を行う。特にテラヘルツ波デバイス向けに銅薄膜を対象とし,ALDによる超高アスペクト比ポリマー構造体への薄膜材料コーティング技術の確立を目指している。本年度はビステトラメチルヘプタンジオナート銅と水素を原料としたALDを検討した。ポリマー表面へ銅を直接製膜させることはできず,適切な密着層を導入することにより銅薄膜堆積を可能にした。低融点のために凝集しやすい銅薄膜を連続膜形成させるために,酸化銅を堆積し還元するプロセスも検討した。また,高アスペクト比構造への均一製膜に向けて,反応速度論に基づくプロセス設計が重要である。水晶振動子マイクロバランスを用いた吸着脱離速度論の解析を行うべく,測定手法の構築を行った。ハードウェアの改善により外乱の影響を排除し精度の良い測定を可能にした。トリメチルアルミニウムと水蒸気を用い,これらの吸着脱離速度定数や吸着平衡定数,吸着エネルギーを算出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
密着層の導入によりポリマー表面への銅薄膜コーティングを確認でき,直接の銅堆積や酸化銅を形成し還元する手法などプロセスの比較も行えた。また,吸着脱離過程の速度論的解析に向けて,水晶振動子マイクロバランスの測定手法を構築し,適用可能性を見出せたことからも,順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
銅薄膜の連続膜形成に向けて最適プロセス条件の確立を進めるとともに,銅薄膜の膜質評価も実施する。また,水晶振動子マイクロバランスにより銅薄膜形成過程の原料吸着速度,反応速度の解析を行い,高アスペクト比構造への均一製膜指針の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
既存の装置や原料を有効的に活用できたため,当初計画よりも物品購入費用が減少し次年度使用額が生じた。一方で,次年度で検討すべき原料や導入すべき装置,機器が明らかになったため,これらの購入費用に充てる予定である。具体的には,Cuアミジネート原料や,水晶振動子マイクロバランスの測定装置備品や消耗品を購入する。また,これらに加えて当初の計画通り,共通機器利用料や学会参加費用などに使用し,研究を進める予定である。
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