2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of new heavy-element-based oxide glass-ceramics and investigation of their potential as radiation detector materials
Project/Area Number |
23K19188
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
白鳥 大毅 東京理科大学, 工学部電気工学科, 助教 (70980324)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | ガラス / 結晶化ガラス / 蛍光体 / シンチレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
重元素かつ高発光量のガラスシンチレータを達成するための候補材料として、Hf(原子番号72)を十分に含有したシリケートガラスに着目し、Hfを起点とした結晶化による高発光量化を試みた。具体的なガラス組成はHfO2-Al2O3-SiO2であり、当該ガラスはフローティングゾーン溶融急冷法により合成した。まずは10HfO2-10Al2O3-80SiO2ガラスに対して、熱処理を施すことによる結晶化および結晶成長の確認を行い、その後、各種光学・発光特性およびシンチレーション特性について熱処理前後における変化を調べた。 ガラスを合成後、まずは結晶化温度付近(1010℃)にて熱処理を行い、1h程度で結晶化と結晶成長が生じることを確認した。析出結晶は立方晶系のHfO2であり、これ以外の結晶相は観測されなかった。今回は発光中心としてCeを微量添加し、Ce3+の5d-4f遷移に起因する400 nm付近の発光について、結晶成長前後における発光特性の変化を観察した。結晶成長による発光スペクトルのピークシフトは観測されなかったが、特にシンチレーション強度の大幅な増加が確認された。この発光強度の変化はCe添加濃度が低い試料ほど大きく、発光中心に到達していなかった励起電子の一部が結晶化によって発光に寄与するようになった可能性がある。また、パルス波高スペクトルにおいては、特にアルファ線照射下における発光量の顕著な増加を確認し、本ガラス系において結晶化におけるシンチレーション特性の改善が生じることが判明した。これによって、ガラスの結晶化によってガラスシンチレータにおける構造由来のエネルギーロスを低減できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まずは3元系組成10HfO2-10Al2O3-80SiO2について、結晶化の確認と結晶成長を試みた。その結果、当該ガラス系は結晶化温度付近における熱処理によって結晶化および結晶成長が起こることがわかった。さらに、この結晶化によって、特にシンチレーション強度の大幅な増加が確認された。この発光強度の変化はCe添加濃度が低い試料ほど大きく、発光中心に到達していなかった励起電子の一部が結晶化によって発光に寄与するようになった可能性がある。また、パルス波高スペクトルにおいては、特にアルファ線照射下における発光量の顕著な増加を確認し、本ガラス系において結晶化におけるシンチレーション特性の改善が生じることが判明した。一方で、進捗としてはLu結晶を析出させ高発光量を達成するという目論見の下地段階に留まっている。これは、狙った結晶を析出させること、すなわち結晶化条件を割り出すことの難易度が高く、想定以上の時間を要しているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、3元系組成HfO2-Al2O3-SiO2にLuを導入し、4元系組成Lu2O3-HfO2-Al2O3-SiO2に展開したガラスの結晶化を試みる。上記組成におけるSiを僅かにLuへと置換し、まずは結晶化条件を10HfO2-10Al2O3-80SiO2の際と同程度に設定することで、析出結晶相に変化が生じるかどうかを確かめる。その後、組成比を徐々に変更していき、Lu系結晶が析出する組成域を探索する。狙いの結晶相が得られた試料についてはCe等の発光中心を添加することで発光特性の評価を行う。
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