2023 Fiscal Year Research-status Report
Theory for voltage-induced magnon in magnetic Weyl semimetals
Project/Area Number |
23K19194
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小沢 耀弘 東京大学, 物性研究所, 特任研究員 (90984419)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | トポロジカル物質 / スピントロニクス / ワイル半金属 / スピントルク |
Outline of Annual Research Achievements |
磁性ワイル半金属に注目し、磁気秩序とスピンホール効果・軌道磁化の関係を研究した。 強磁性秩序を持つ積層カゴメ格子構造を持つワイル半金属Co3Sn2S2の強束縛模型における内因性スピンホール効果の解析を行った。カゴメ格子に対して面内方向に流れるスピン流(面内スピン流)と、積層方向に流れるスピン流(面直スピン流)に着目した。線形応答理論を用いてスピンホール伝導率を解析し、強磁性磁気モーメントの方向に依存して、スピンホール伝導率が大きく変化することを明らかにした。特に、面直スピンホール電流は磁化反転に有効な表面スピン蓄積を引き起こす可能性を示した。 また、時間・空間反転対称性の両者が破れた、補償されたフェリ磁気秩序を持つワイル半金属Ti2MnAlの有効模型を構築し、電子状態と輸送現象を調べた。TiサイトとMnサイトの磁気モーメントは補償されており正味のスピン磁化はゼロとなるが異常ホール効果が有限となり、さらにバンド構造に由来した軌道磁化と相関があることを明らかにした。軌道磁化の存在により、外部磁場によりバルク磁気方向を変化させることができることを議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強束縛模型を用いた解析を行い、強磁性ワイル半金属では機能的なスピン生成を起こすことがわかった。出版論文以外にも、ワイル半金属が非一様な磁化構造を持つ場合の動的電磁応答についての論文を投稿中である。また、補償フェリ磁性を有するワイル半金属では、トポロジカルな起源によってスピン密度が電気的に生成されることが明らかになり、論文を投稿準備中である。 以上の理由より、現在までおおむね順調に研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行った格子模型の電磁応答の研究をさらに発展させ、電気的マグノン生成および磁化ダイナミクスの解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
短期ワークショップなどの当初予測できなかった出張のため、購入物の品目を調整する必要があり、使用額の差が生じた。今年度の計画としては、初年度で重要な成果が得られたこともあり、ワークショップなどで積極的な情報発信を行う予定である。このため、旅費を当初より多く計上する予定である。購入物としては、解析計算のためのタブレットを購入する予定である。
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