2023 Fiscal Year Research-status Report
高密度自己組織化タイプⅡ量子リング超格子の作製と光閉じ込め構造による光吸収増大
Project/Area Number |
23K19198
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樗木 悠亮 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (80985888)
|
Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
Keywords | 太陽電池 / 中間バンド型太陽電池 / 量子ドット / 量子リング / GaSb / 結晶成長 / 分子線エピタキシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来のInAs/GaAs量子ドットの代替としてGaSb/GaAs量子ドットを用いた中間バンド型太陽電池の開発を目的としている。量子ドットが形成する中間バンドを光吸収層に導入した太陽電池の場合、エネルギー変換効率の理論値が集光動作時に60%を上回り、現在の単結晶シリコン太陽電池の2倍以上が期待できる。中間バンドを用いた高効率化のアプローチにおいては、(1)量子ドットの密度を増やして光励起を促進すること、さらに(2)中間バンド内の準位に光励起されたキャリアの寿命が十分長いことが必須である。 GaSb/GaAs量子ドットはtype-II型バンド構造を有するため、InAs/GaAs量子ドットよりキャリア寿命が長くなる。一方で、GaSb/GaAs量子ドットは光吸収係数が小さいため、GaSb/GaAs量子ドットの高密度化によってキャリアの長寿命化と、光励起増大の両立を図る。 GaSb/GaAs量子ドットの高密度化には、面内密度増大および積層数増大が有効である。量子ドットの成長速度を大きくすることで、面内密度が増大する傾向が得られた。しかし高速成長では非発光再結合レートを高める巨大ドットが発生してしまう。そこで巨大ドットはGaとSbのフラックス比に依存しており、Sbの割合を大きくすることで、量子ドットの高密度化と巨大ドット密度の低減を両立することができた。また、高速成長によって成長時間を短縮されたため、同じ成膜時間でも積層数を増大することができると期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GaSb/GaAs量子ドットの成長時にV/III比と成長速度を調整することで、量子ドットの面内密度を向上させることが可能となった。この密度増加により、フォトルミネセンス(PL)の強度が向上し、評価面でも利点が見られた。PL強度が向上しても、長いキャリア寿命は維持されており、高品質なtype-II型量子ドットが得られた。面内密度の増加にもかかわらず巨大ドットの発生が抑制されたため、このような優れた特性が保持されたと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
GaSb/GaAs量子リング太陽電池作成および光吸収率のさらなる増大に向けて、2024年度は、GaSb/GaAs量子リング層の多積層化と光閉じ込め構造のための裏面テクスチャの実装に取り組む。
|
Causes of Carryover |
2023年度はMBE等装置のメンテナンスや原料の補充などが発生し、実験が一時中断したことにより、一部の物品購入を今年度に回すことにしたため。
|
Research Products
(1 results)