2023 Fiscal Year Research-status Report
π共役系含リン複素環の効率的合成を指向した、選択的炭素-水素結合官能基化反応
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23K19253
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
服部 寛之 東京理科大学, 創域理工学部先端化学科, 助教 (40979324)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 含リン複素環化合物 / 炭素-水素結合官能基化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、π共役系含リン複素環化合物を簡便に合成する新たな手法として、ジフェニルホスフィン類の二つのオルト位炭素-水素結合官能基化による環化反応の開発を目的としている。 申請時の研究計画に従い、初年度は主にジフェニルホスフィン類の分子内環化によるジベンゾホスホール合成法の開発に取り組んだ。モデル基質としてトリフェニルホスフィンオキシドを用い、金属触媒や溶媒、添加剤などの各種反応条件を探索した。その結果、特定の条件下反応をおこなうことで中程度の収率で目的のジベンゾホスホールが生成することを見出した。また、より効率的な炭素-水素結合切断を期待し、リン上に別の配向基としてアミノ基を導入した原料である (ジエチルアミノ)ジフェニルホスフィンオキシドを合成した。トリフェニルホスフィンオキシドと同様の条件下反応させたものの、反応は進行しなかった。 一方、二つのオルト位炭素-水素結合官能基化の含ヘテロ原子化合物との分子間環化反応への拡張も検討した。遷移金属触媒による二つのオルト位炭素-水素結合の官能基化が報告されているジフェニルエーテルあるいはジフェニルスルホンを原料として用い、窒素源と金属触媒、添加剤を検討した。しかしながら、目的の反応は進行せず、原料の分子内環化がわずかに進行する、あるいは原料が回収された。 また、別のジベンゾホスホール合成方法論として、2-ヨードビフェニルの炭素-水素結合官能基化を利用した分子間環化反応についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度中に反応条件の最適化(定量的な目的物の合成)を完了させ、2024年度は基質一般性の拡張を検討する計画であったが、先述の通り目的の反応は中程度の収率に留まっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
分子内環化によるジベンゾホスホール合成に関して、これまでの研究で、収率向上に寄与すると予想される要素はいくつか洗い出すことができた。今後は、それら要素の系統的な調査と、網羅的な条件検討をおこなうことで反応条件の最適化をおこなう。当初の研究計画を見直し、上半期までに最適化を完了させ、下半期には基質一般性の拡張へ展開することを目標とする。 また、分子間環化反応への拡張は、上記と並行して引き続き検討を続ける。
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Causes of Carryover |
最適条件の探索がやや遅れており、それに伴う試薬購入の支出をまだおこなっていないため。引き続き次年度の試薬購入に利用する予定である。
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Research Products
(1 results)