2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of highly functional sub-nanoparticles by hybridization of base metals
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23K19268
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森合 達也 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (60985018)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | サブナノ粒子 / 卑金属 / 元素ハイブリッド / デンドリマー / 合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
安価で市場規模の大きい卑金属から構成される粒径約1ナノメートルのサブナノ粒子を精密に合成し、これらの物性評価や反応性評価を行った。粒子合成法には、自身が所属するグループで独自開発した樹状高分子であるデンドリマーを用いた鋳型合成法を採用することで、サブナノ粒子の構成原子数、元素種、組成比を精密に制御した。卑金属元素として、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)に着目し、これらで構成される単元素サブナノ粒子の合成に成功した。また、Mn-Cu、Fe-Ni、Co-Ni、Co-Cu、Ni-Cuの組成ではそれぞれ12:16の原子比率で二元素ハイブリッド粒子の合成にも成功した。 STEMやEDXによって合成した粒子の同定や形状観察を行い、UV・XPS・XAFSから電子状態や結合形態を評価した。その結果、それぞれの単元素サブナノ粒子は同じ元素のバルクやナノ粒子には見られないサブナノに特有の物性を持つことが示された。さらに、二元素ハイブリッド粒子からは、単元素サブナノ粒子にも見られない性質が見られたことから、サブナノサイズにおける合金化効果を確認した。この際、一部の粒子については12:16以外に4:24の原子比率も検討した。 これらの粒子を昇温脱離・還元測定に用いることで、得られた吸着特性と上記の物性評価結果を照らし合わせ、サブナノ粒子の特異的性質を明らかにした。さらに、一部の粒子については、CO酸化触媒としても応用し、触媒活性評価まで行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に予定であった、単元素サブナノ粒子と二元素ハイブリッド粒子の合成から、粒子観察、物性評価まで完了した。二元素ハイブリッド粒子の合成では、ノウハウがあったものの、合成条件のパラメータを決定する際に予定よりも時間を要した。一方で、STEM観察とEDX分析を円滑に進めることができた。また、物性評価も順調に行うことができ、2年目に予定していた触媒反応を初めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
既に始めているCO酸化反応を引き続き検討し、サブナノへの極微小化効果と他元素との合金化効果について評価するとともに、高い触媒活性を持つサブナノ粒子を模索する。とくに反応基質に対する吸着・分解挙動に着目し、1年目に行った物性評価の結果と関連付けることで、サブナノ粒子の活性化挙動が各反応の活性化エネルギーの変化について議論する。この際、計算シミュレーションを併せて行うことで粒子の構造・表面サイトも解明する。 また、上記検討が完了次第、CO酸化反応以外の自動車の排ガス浄化反応(炭化水素改質・NOx還元)を行い、サブナノ粒子の環境浄化型触媒としての性能を評価する。この際、得られた結果から、サブナノ粒子の活性化にとくに有効な元素を絞る。これらを二元素の組成比配合の設計・合成にフィードバックすることで、卑金属ハイブリッド粒子の構成を原子1個レベルで調整し、機能最大化を狙う。
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Causes of Carryover |
物品については、触媒反応装置の備品や脱水有機溶媒、金属塩などの試薬は既に研究室で保管されていたものを現在使用しており、それらが消費または劣化し次第購入する。また、今年度の8月に国際学会への参加を予定しており、その際に旅費として利用する予定である。
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