2023 Fiscal Year Research-status Report
海洋シアノバクテリア由来ポリオールマクロリドの包括的全合成と全立体配置決定
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23K19284
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
村田 佳亮 中央大学, 理工学部, 助教 (60980141)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 全合成 / 全立体配置決定 / 海洋天然物 / ポリオールマクロリド / 量子化学計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究対象としているポリオールマクロリド天然物群のうち、leptolyngbyalide Aの全合成に向けて合成研究を行った。研究計画当初は、立体配置が明らかになっていないマクロラクトン環部の相対配置決定に向けて、NMRデータシミュレーションに利用したモデル化合物の合成に着手する計画であったが、先んじて天然物群全体に共通するポリオール長鎖の合成に取り組むこととした。 結果、Evansアルドール反応と清岡アルドール反応をそれぞれ鍵工程として合成したアルデヒドとエノールシリルエーテルを、向山アルドール反応によって連結したのち、奈良坂還元によってsyn-ジオールを構築する戦略で、ポリオール骨格の大部分を立体選択的に合成することができた。現在はマクロラクトン環部と連結するためのヨードオレフィン部位の構築を進めている。本合成法はスケーラブルかつ、市販原料の絶対配置を変更するのみでエナンチオマー体の合成が可能であるので、天然物群全体の全合成および全立体配置決定を効率化できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度で、ポリオール長鎖の合成法を大方確立することができた。しかし、本研究最大の目的である全立体配置決定に向けて重要な立体配置不明点を含むマクロラクトン環部の合成において成果を上げることができなかったため、進捗状況としてはやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は分子右側のマクロラクトン環フラグメントの合成に着手し、我々が導出した最有力構造式のモデル化合物の合成を急ぐ。合成したモデル化合物が天然物のNMRスペクトルを再現すれば、ポリオールフラグメントとの連結に迅速に移行する。 マクロラクトン環部の合成に際して、過去に行った探索合成で得た知見から新しい合成経路を考案したため、短工程化が期待できる状況にある。
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Causes of Carryover |
本年度は研究計画変更に伴って比較的安価な市販原料からの合成のみを実施したため、経費の使用が抑えられた。次年度は、合成的な検討が多く予期されることと、複数の立体異性体を構築する上で、多くの経費を利用すると考えられる。研究遂行にあたり試薬、溶媒等や実験器具の購入に用いる物品費として、有効に活用する予定である。
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