2023 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム育種に向けた天敵昆虫における薬剤抵抗性遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
23K19297
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
内堀 美和 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 研究員 (80724856)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | タバコカスミカメ / ゲノム編集 / 薬剤抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、IPM (Integrated Pest Management)の広域化に伴い、選択的なベンゾイルウレア系昆虫成長制御剤(BU系IGR剤)や、天然物由来のスピノシン系殺虫剤が主力になりつつあり、これらの殺虫剤に対して抵抗性を持つタバコカスミカメの育種が可能になれば、本種の利用機会は増加すると考えられる。しかし、本種のこれらの剤に対する薬剤抵抗性遺伝子の同定、解析は進んでいない。 農業害虫であるコナガやアザミウマ類において、BU系IGR剤に対してキチン合成酵素(CHS1)、スピノシン系殺虫剤に対してニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)を構成するα6サブユニットが、それぞれ抵抗性遺伝子として報告されている。そこで本研究では、タバコカスミカメのゲノム情報をもとに、CHS1およびnAChRのα6サブユニットのホモログを同定した。次に、これらの遺伝子の機能検証のために、タバコカスミカメの5齢幼虫にCHS1あるいはnAChR α6のdsRNAをマイクロインジェクションし、リアルタイムPCRにより接種7日後の遺伝子発現量が低下することを確認した。現在、ノックダウン個体の薬剤感受性試験を実施している。また、CRISPR/Cas9法によるゲノム編集法の確立に向けて、メス成虫の体腔に体色遺伝子(ebony)のsgRNAとCas9をマイクロインジェクションし、次世代幼虫のゲノムシーケンスを行い、最もゲノム編集効率が高くなる条件を探索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画の通りであり、研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、探索しているゲノム編集の高効率条件を用いて、タバコカスミカメにおいてCHS1およびnAChR α6のゲノム編集を実施する。ゲノム編集した交配後代の薬剤感受性試験を実施し、感受性の強度と適応度コストについて調査する。
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Causes of Carryover |
当初、実験機器(マイクロマニュピレーター)の購入費を計上していたが、所属する研究所内の実験機器で代用可能であることが明らかとなり購入しなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、実験機器(プーラー)の購入費として支出予定である。
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