2023 Fiscal Year Research-status Report
シイタケの耐病性品種の育種開発に向けた遺伝領域の特定
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23K19312
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小野 晶子 静岡大学, 未来創成本部, 助教 (60975473)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | シイタケ / 害菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
シイタケの栽培現場では、Trichoderma属菌による子実体の発生阻害が問題となっている。本課題では耐病性に関わる遺伝領域を特定するために、耐病性の異なるシイタケ菌株間で、ゲノムワイドな量的形質遺伝子座解析を行っている。本年度はまず、F2株のゲノムDNAを、次世代シーケンサーでのゲノムシーケンスを行い、約35 Gbのリードを取得した。バルク分離解析を実装したQTL-seq v2.2.3パイプラインに供し、優位にΔSNP-Indexの割合が高い領域を検出した。その結果、ゲノム上に2 Mbpおよび0.6 Mbpの2領域が絞られた。この領域内で特にSNPが明瞭に分かれる箇所の選抜を行い、どの遺伝子上の配列であるかなどの情報を整理した。これらの成果をまとめ、日本きのこ学会第26回大会でポスター発表を行った。 また、交配に使用した親株をTrichodermaまたは同じシイタケ菌株と対峙培養し、シイタケの菌糸体からtotal RNAを抽出、Novogene社のIllumina Novaseq6000を使用した150 bpペアエンドシーケンスを行った。各サンプル7 Gb程度の生リードを取得しており、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時の計画の予定通り、初年度(R5)はQTL-seq法によりゲノム間で一塩基多型のある箇所を探索し、該当する遺伝領域を特定することができた。さらに1件の学会発表を行った。また、次年度に予定しているRNA-Seq解析のためのリード情報はすでに取得済であることから、計画通りに遂行できていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-Seq解析を行い、シイタケがTrichodermaと対峙した際の遺伝子発現差解析を行うことで、耐病性に関連する遺伝子を推定する。最終的にQTL-seqおよびRNA-Seqから得られたデータを総合し、DNAマーカーを作出し、強耐病性菌株の選抜が可能か検証する。
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Causes of Carryover |
申請者の年度中の所属の移動があったため、短期間ではあるが科研費の使用を中断していた。移動後にすぐ使用を再開したが、当初の予定から多少購入するものや旅費の変動があり、次年度使用額が生じた。こちらについては、新しい所属先で不足している試薬などの購入に充てる予定である。
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