2023 Fiscal Year Research-status Report
3D-AFMを用いた ECMによる樹状突起スパインの可塑性制御機構の解明
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23K19364
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
矢ケ崎 怜 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任助教 (10980823)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 樹状突起スパイン / ECM / 3D-AFM |
Outline of Annual Research Achievements |
脳の正常な高次機能には樹状突起スパインの可塑的な構造変化が必要であり、その変化にはアクチン細胞骨格のリモデリングが重要である。また、スパイン周囲には細胞外マトリクス(ECM)が存在し、スパイン内部のアクチン細胞骨格と物理的に結合している。そのため、スパイン周囲のECMは、アクチン細胞骨格のリモデリング動態を介して、スパインの可塑性を大きく左右すると考えられる。そこで、本研究はスパイン周囲のECMがアクチン細胞骨格のリモデリング動態を介してスパインの可塑性を制御する機構を明らかにすることを目的とした。 本研究遂行にあたりスパイン内部のアクチン細胞骨格の動態を詳細に観察することができないという課題があったため、1年目にあたる昨年度は、生細胞内の3D微細構造と力学物性を計測できる新規3D-AFM技術を神経に応用するための条件検討を進めた。まず培養面について述べる。E16マウスの大脳皮質を単離し神経細胞を培養するのだが、AFM計測を行う際にスフェロイドがあるとカンチレバーが引っかかり最後まで計測できない可能性がある。そこで、神経を健康に培養できつつ、スフェロイド等を形成しない程度の密度を検討し決定した。また、スパインは直径1-2マイクロメートルほどと非常に小さな構造のため、スパインを標識し特定しながら計測する必要がある。AAVによる遺伝子導入により標識することができ、AFMに取り付けている倒立蛍光顕微鏡でもそのシグナルを検出することができたため、計測中にスパインの特定が可能になったといえる。次にAFM計測についてだが、複数のカンチレバーや異なる探針の太さ等を試すなど条件検討を重ねており計測が可能になりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究において様々な条件検討を重ねてきた。培養面で必要な条件検討はほぼ終えており、AFM計測に関してもある程度条件が決定しつつある。また、プレリミナリーではあるものの、スパイン様構造内部のアクチン構造を可視化することができていることから技術的な課題は順調に解決していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究成果をもとに、さらにAFM計測条件を詰めつつ、計測による影響がないことを示すため、カルシウムインジケーターを導入し探針の刺しこみによるカルシウム発火が生じていないかを調べる。次に、スパイン拡大時に着目し、スパインの拡大前から拡大後までの時間変化を明らかにする。スパインの拡大は、グリシンなどを培地中に添加し、化学的に誘導しようと考えている。また得られたデータからアクチン細胞骨格の長さや向き、弾性率や剛性などの情報を抽出し、比較する。
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