2023 Fiscal Year Research-status Report
Molecular basis of morphine analgesic tolerance by GPCR hetero-dimerisation
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23K19408
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
丹羽 史尋 自治医科大学, 医学部, 助教 (50641974)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | バソプレシン受容体 / オピオイド鎮痛耐性 / 1分子イメージング / オピオイド受容体 / アレスチン |
Outline of Annual Research Achievements |
モルヒネの長期投与は、u-オピオイド受容体(MOR)とバソプレシンV1b受容体(V1bR)の ヘテロ二量体(MOR/V1bR)を活性化する。これにより、アデニル酸シクラーゼの活性化と cAMPの濃度上昇を引き起こす。このアデニル酸シクラーゼの活性化は、モルヒネ鎮痛耐性の原因と考えられている。しかし、細胞内のどこでMOR, V1bR, b-arrestin2, ERKなどの複合体が形成され、どのようにアデニル酸シクラーゼの活性化が起こるかは未解明の課題である。この課題の解明のために本研究では多色1分子イメージングによる1分子FRETイメージングを用いることで、アゴニストの有無などによる一過性のたんぱく質の構造変化と相互作用の変化、さらにはその局在や持続時間などを包括的に解析することを計画している。 2023年度の本科研費において申請者は1分子イメージングを用いたMORおよびV1bR、b-arrestin2の多色同時イメージングによる可視化の系の立ち上げに注力した。その結果、生細胞での2種類のたんぱく質の同時1分子イメージングの系を立ち上げ、2種類のたんぱく質の相互作用の可視化が可能になった。 また、たんぱく質の発現量の変化などによるたんぱく質の相互作用の変化を避けるために、細胞内への遺伝子導入量を一定にし、定量性を上げるという目的で、ゲノムのセーフハーバーに任意の遺伝子を1コピーずつ導入できる系を開発した。 2024年度はこれらを用いてこれらのたんぱく質複合体の相互作用について1分子レベルでの相互作用をその局在やタイムスケールの情報も併せて解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の半年間では超解像顕微鏡を用いた生細胞での2色同時超解像1分子イメージングの立ち上げ及び、タグ付きGPCRをゲノムに組み込んだイメージング用の細胞株の作製を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りu-オピオイド受容体およびバソプレシンV1b受容体、b-arrestin2の相互作用の可視化及び解析を行う。タグ付きV1b受容体作製時に判明した点として、V1b受容体は細胞膜上に存在する受容体に対して、細胞内に存在している受容体の割合の方が非常に高いことも明らかになった。そこで、単なる細胞膜上でのヘテロGPCRの相互作用だけでなく、これらのヘテロGPCRが細胞膜上に移行する条件なども含め包括的な解析を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度に申請者はもともと海外からのspotGABAAノックインマウスの導入を計画していた。しかしながら、輸送費の見積もりが50万かかったこと、その他の1分子イメージングの立ち上げに不可欠な色素などの海外からの購入費用が円安の影響で申請時の予想より大幅にかかったことから、初年度の申請予算内でのマウスの輸送ができなくなった。 この予算は次年度に持ち越し、次年度試用予算と合わせてマウスの輸送を行うことを計画している。
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