2023 Fiscal Year Research-status Report
外因性エタノール処理による薬用植物カンゾウの機能性強化
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23K19440
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
西殿 悠人 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (40979473)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 生薬 / 薬用植物 / カンゾウ / エタノール |
Outline of Annual Research Achievements |
生薬「甘草」は漢方薬の7割以上に配合される重要生薬の1つであるが、その供給のすべてを輸入に依存しているため、国内での栽培化が強く求められている。しかしながら、国内栽培品の多くは、薬効成分の蓄積が十分ではないという問題がある。このような背景のもと、研究代表者は、先行研究において、外因性エタノール処理により、薬用植物カンゾウの薬効成分であるグリチルリチン酸の蓄積を誘導できる可能性があることを明らかにした。そこで、本研究課題では、薬用植物カンゾウの二次代謝産物の蓄積に及ぼす外因性エタノールの影響を細胞培養系と実際の植物体の両方でより詳細に明らかにすることを目的とした。研究計画に従い、令和5年度は、初めに、薬用植物カンゾウより誘導したカルスの液体培地への移行を試みた。さまざまな植物ホルモンの組み合わせにより誘導したカルスのうち、1-naphthaleneacetic acid (NAA) と6-benzyladenine (BA) の組み合わせにより誘導したカルスについて、グリチルリチン酸の生合成能を維持した状態で液体培地に移行することができた。次に、この細胞培養系を用いて、外因性エタノールがグリチルリチン酸の蓄積に及ぼす影響を複数の濃度で調べ、グリチルリチン酸の蓄積が誘導される外因性エタノールの濃度域、培養細胞の増殖が阻害される外因性エタノールの濃度域を明らかにした。同時に、外因性エタノールにより蓄積が増加するグリチルリチン酸以外のトリテルペンサポニン、蓄積が減少するトリテルペンサポニン、蓄積が増減しないフラボノイドを同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は、液体培地で維持している培養細胞を用いて、外因性エタノールがグリチルリチン酸の蓄積に及ぼす影響を複数の濃度で明らかにすること、外因性エタノールがグリチルリチン酸以外の二次代謝産物の蓄積に及ぼす影響を明らかにすることを計画していた。当初の計画通り、グリチルリチン酸の蓄積が誘導される外因性エタノールの濃度域を明らかにすることができたとともに、グリチルリチン酸以外のトリテルペンサポニンやフラボノイドに及ぼす外因性エタノールの影響を明らかにすることができたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、令和5年度に得られた知見を踏まえ、実際の植物体における外因性エタノール処理の影響(形態的特徴および薬効成分の蓄積に及ぼす影響)を明らかにする。具体的には、エタノールの最終濃度が0%~1%になるように調製したMS培地(0.8%寒天、各種ビタミン、3%スクロース含有)において、無菌発芽した薬用植物カンゾウの幼苗を一定期間生育させる。一定期間生育させたサンプルについて、形態的特徴を記録するとともに、成分分析を行う。この際、グリチルリチン酸を含む複数のトリテルペンサポニンについては、定量分析を行う。
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Causes of Carryover |
納品遅れにより、経理処理の手続きが年度をまたいだため。
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Research Products
(1 results)