2023 Fiscal Year Research-status Report
Impairment in cancer immune surveillance evoked by obesity-induced abnormalities in T cell selection
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23K19479
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
堀江 健太 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (90983528)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | T細胞選択 / 胸腺上皮細胞 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満はT細胞の活性化へ影響を与え、細菌やウイルスなど外来由来の異物やがん細胞など自己由来の異物に対する免疫応答を抑制する。T細胞は、異物と自己組織をT細胞受容体を介して識別し、異物を選択的に排除することで自己組織を恒常的に保つ。T細胞分化環境である胸腺に存在する胸腺上皮細胞は、このようなT細胞の抗原特異性の獲得において重要である。肥満がT細胞の活性化へ様々な影響を与える一方で、こうしたT細胞抗原特異性が肥満によりどのような影響を受けるかは不明である。 そこで本研究では、肥満マウスを作製して肥満が胸腺機能へ与える影響を評価した。その結果、胸腺内T細胞の組成及びT細胞受容体の多様性変化が認められた。また、各種T細胞画分や胸腺上皮細胞の遺伝子発現解析を行った結果、それぞれの細胞集団にて特徴的な遺伝子発現の変化が認められた。さらに、肥満胸腺において分化したT細胞が末梢組織にてどのように機能するかを多面的に評価するために、条件検討を実施することで実験的な評価基盤を構築した。 これら成果より、肥満が胸腺におけるT細胞の分化へ影響を与えることが判明し、肥満個体においてT細胞抗原特異性が変容する可能性が示唆された。今後は、構築した評価基盤をもとに肥満個体で分化したT細胞の機能評価や、独自に取得した遺伝子発現解析を基にして、肥満個体においてT細胞抗原特異性が変容する分子機構の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要研究環境の整備と概ねの条件検討が終了し胸腺機能を評価する段階へと入ったため、順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、肥満個体における胸腺機能を研究計画に従って評価する。
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Causes of Carryover |
実験環境構築に関する費用について、当初の見積もりより安価に進める事ができ、かつ他の予算獲得に成功したため。また、本研究にとって有益な学術集会へ参加できなかったため。 研究内容をさらに発展させるべく、次年度は学会等への積極的な参加を計画する。また、研究の方向性を広げるべく、当初の研究計画に加え、他の異なる視点から本研究に関連する実験を計画し実行する。
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