2023 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性腫瘍における新規バリアントの機能解明と多次元解析
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23K19508
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
奥舎 有加 岡山大学, 医歯薬学域, 研究准教授 (50762027)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 遺伝性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、NGSの進歩により遺伝性腫瘍の原因遺伝子PTENの病的バリアント検出率は飛躍的に上昇した一方で、それに伴い膨大なVUSが蓄積されている。また、機能的解析が十分でないVUSが多数存在することが、様々なコホート研究で問題となっている。申請者らは、遺伝性腫瘍におけるVUSの機能解明のため、まずin silico構造解析を行い、高い病原性が疑われる変異によりPTENタンパク質の電荷が変化し、結合タンパク質との複合体形成に変化が出るという結果を得た。また申請者は、高い病原性が疑われるPTEN_VUSのin vitro 解析のため、CRISPR/Cas9ゲノム編集法を用いてVUSを特異的標的とするsgRNAおよび修復オリゴを設計後、SpCas9-2A-GFPベクターに組み込み、細胞に導入することで、PTEN欠失細胞株およびPTEN変異細胞株を樹立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in silico構造解析およびCRISPR/Cas9ゲノム編集法を用いたPTEN欠失細胞株およびPTEN変異細胞株の樹立は、申請者の計画通り実行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はPTEN遺伝子改変モデル動物の作製を行う。具体的には、変異細胞株を作成した高い病原性が疑われるVUSの変異点を特異的標的とするsgRNA、修復オリゴおよびCas9をICR系偽妊娠マウスに胚移植し、得られた個体のジェノタイピングによりPTEN遺伝子改変マウスを作製する。PTEN遺伝子改変マウス作製後は、PTEN過誤腫症候群を念頭に置いた精神疾患の検証については、空間学習・作業記憶の解析のための8方向放射状迷路試験などの行動実験解析を行う。次にマウスを灌流固定し、35μmの凍結脳切片を作成した後、中枢神経系において記憶を司る海馬のc-fos免疫組織染色を行い、神経活動の指標を比較する。
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