2023 Fiscal Year Research-status Report
オルガノスフェアとマイクロバイオーム解析による多次元的腫瘍解析と次世代型治療効果予測システムの構築
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23K19535
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊田 有紀 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60982220)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 二次元オルガノイド / マイクロバイオーム解析 / 腸内細菌叢 / 治療効果予測システム |
Outline of Annual Research Achievements |
がん組織は個々の組織内で多様な遺伝子発現を呈し、同じ治療法でもその治療効果は個々の患者やがん組織で全く異なる。また、個々の患者間で全く異なるとされているのが腸内細菌叢である。近年、特に大腸癌領域で特定の腸内細菌が癌の発生、進行、治療薬の感受性に影響を与えるという報告が増加している。我々のグループではこれまでに生体内の癌により近い培養モデル(二次元オルガノイド)を構築し、マイクロバイオーム解析により直腸癌術前化学療法の効果予測が可能かどうか検証してきた。 本研究ではさらに発展させ、化学療法実施予定の結腸直腸癌に関して化学療法実施前後の糞便採取による網羅的な細菌叢解析(16S rRNA解析)、内視鏡検体採取によるRNA-ISH解析を行った。目標症例は令和5年度の1年間でデータ収集可能な約50症例とし、16S rRNA解析から治療薬の効果予測や予後に関連する新規細菌種の同定を行った。そこから薬物治療効果に関連する特定細菌種の有無から治療薬の効果を予見するモデルを構築し、薬物治療の治療予測に適した複数の細菌種に関してRNA-ISHやリアルタイムPCR法を用いて迅速に特定細菌種を検出することで早期の糞便解析から治療薬の反応を予測するシステムを構築した。 本研究では大腸癌の治療薬への反応性をより正確に、短期間に予測する目的で、二次元オルガノイドを用いた超短期反応性予測モデルと腸内細菌叢を用いた治療反応性予測モデルを多次元的に解析し次世代型治療予測システムを構築した。本研究はがん領域で更なる治療の個別化と治療成績の向上を実現させ、腸内細菌叢をターゲットとした新規治療薬への探索研究に繋がる。 結腸直腸癌の薬物治療予定から糞便と内視鏡・手術大腸癌検体を利用し、オルガノスフェアとマイクロバイオーム解析による薬物治療効果予測モデルを作成し、その妥当性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内視鏡、手術検体を収集し、2DOの樹立とオルガノスフェアを用いた薬剤感受性評価を行っており、概ね計画通りである。 現在検体収集を行っている途中であり、50例に到達した際に細菌叢解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2Dオルガノスフェアと細菌叢解析からそれぞれの予測モデルを作成し、統合した予測システムを作成する。目標患者数20例について検体収集を行い、妥当性評価を行う。
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Causes of Carryover |
研究を始める上で必要な薬剤の費用などに使用した。 今後国内外の学会での発表や論文発表を行う予定であり、そのための学会参加費用や論文投稿費用などで使用する予定である。
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