2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K19568
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
水本 智也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 文部科研研究員 (10985427)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | SIRT7 / 糖新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
サーチュイン(哺乳類ではSIRT1-7)はNAD依存性の脱アセチル化酵素であり、標的タンパク質のリシン残基からアセチル基を取り除くことで様々な生命活動の制御を行う。最近までSIRT7の糖代謝の役割やその分子機構についてはほとんど理解されていなかったが、申請者らは肝臓特異的SIRT7欠損(L-Sirt7 KO)マウスの絶食時に糖新生律速酵素であるPEPCKなどが減少していたことから、SIRT7が糖新生制御に関与している可能性を見出した。さらに糖新生制御時におけるSIRT7の標的因子をRNA-seqにより、Sirt7 KOマウス肝臓において発現が変化している遺伝子の網羅的な解析を行った。次にChIP-Atlas法を用いて、発現量の変化が認められた遺伝子群のプロモーター領域に結合する転写因子の検索を行ったところいくつかの候補因子を見出した。本研究はSIRT7の標的候補因子を介した糖新生制御を解明することを目的とする。 予備検討の結果からSIRT7の標的候補因子の1つであるNFIL3(糖新生のリプレッサー)が肝臓特異的SIRT7欠損(L-Sirt7 KO)マウスの肝臓において増加しており、SIRT7と結合していることが確認できた。さらに初年度において、L-Sirt7 KOマウスの初代肝細胞において、NFIL3のsiRNAにより増加したNFIL3のタンパク質量を減少させると糖新生律速酵素であるPEPCKの発現が上昇し、グルコース産生も回復した。このことからSIRT7がNFIL3を介して糖新生制御を行っている可能性が示唆された。さらにNFIL3のタンパク質量は絶食の時間経過に伴い減少するが、SIRT7抑制時にはタンパク質量が維持されたためSIRT7がNFIL3タンパク質の安定化に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はS7LKOマウスの糖新生における基礎データやSIRT7の糖新生制御におけるNFIL3の関与についてデータを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、NFIL3の翻訳後修飾やタンパク質増加のメカニズムについて検討していく。 具体的には(1)NFIL3のアセチル化について確認し、脱アセチル化酵素であるSIRT7を過剰発現した時のアセチル化量の変化について検討する。(2)SIRT7の介入によりNFIL3の翻訳後修飾が確認できれば質量分析を用いてNFIL3の修飾部位を同定する。(3)NFIL3の修飾部位の同定後、その部位の変異型を作製しNFIL3のタンパク増加もしくは安定性について検討する。
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Causes of Carryover |
次年度は質量分析を含めタンパク実験における抗体等、多額の消耗品が必要であり支出の増大が見込まれるため
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