2023 Fiscal Year Research-status Report
老化並びにオートファジー関連遺伝子の心房細動発症予測因子としての有用性の探索
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23K19602
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
上原 敬尋 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医師 (90975921)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 心房細動 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究1年目に,The National Center for Biotechnology Informationに公開されているDNAマイクロアレイの情報を活用して,心房細動を発症した心房検体および高齢者の心房検体で特異的に発現しており,かつ血中で同様の発現パターンを示している遺伝子群抽出を目的にバイオインフォマティクス解析,特にDNAマイクロアレイの解析を行う予定であった.高齢者心房細動左房において亢進しており末梢血でも亢進を認める遺伝子を発見し,論文発表を行った.心房細動患者の血液と左心房の両方で12個の発現上昇遺伝子(CAST、ASAH1、MAFB、VCAN、DDIT4、FTL、HEXB、PROS1、BNIP3L、PABPC1、YBX3、S100A6)を同定した. また,GeneMANIAとCytoscapeを用いて遺伝子の機能を解析した. 同定された遺伝子は,リソソーム機能,脂質およびスフィンゴ脂質の異化を含む様々な経路に関与していた.次に、同定された12個の遺伝子が全身的に発現しているか,あるいは臓器特異性が高いかを調べた.最後に、RefExを用いて,様々な組織における遺伝子発現レベルを解析した.FTL、ASAH1、S100A6、PABPC1の4遺伝子が正常心臓組織で高発現していた.ヒートマップを用いて心房細動患者の血液における12遺伝子の発現レベルを評価した結果,本研究で同定された12遺伝子,特にリソソーム関連遺伝子(FTLとASAH1)が心房細動の病因に関与している可能性が示唆された.つまりライソゾーム関連遺伝子は、心房細動の病態生理に関与し,心房細動に関連した今後の研究を展開する上で重要であると考えられた. また、データサイエンスへの理解を深めたため,副次的に大規模言語モデルと循環器内科学に関する論文も初年度のうちにアクセプトされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文発表まで行うことができ,計画通り進行している. また、データサイエンスへの理解が深まったため当初予定していなかったテーマでの論文発表も行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
抽出された候補遺伝子の臨床的有用性を検討するために,バイオバンクや,臨床で収集された検体および臨床情報を用いて,候補遺伝子の心房細動発症予測における有用性を探索的に検討する予定である.初年度に候補とされた遺伝子に関しては現在,バイオバンク検体を使用せずとも測定可能か検討をしており,バイオバンク検体を用いて測定を行うか,臨床検体やデータからまず探索的に測定を行うかを検討する.臨床検体での測定が可能と思われる場合にはその方策を優先する方針で考えている.
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Causes of Carryover |
初年度には民間助成金もあったため,その助成金を使うことで英文校正費や投稿費を賄うことができた.初年度の半年間で行えた成果はバイオインフォマティクス解析であり,実際の検体を用いた計測まで行っていない為,次年度使用が生じた.次年度にその解析を行うこととしている.次年度は実検体を用いた解析に移行するため,繰越金額を使い切る予定である.
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Research Products
(5 results)