2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of Ciliary Motion Inhibition Mechanism by Nitric Oxide Using Humanized Cilia Mouse Model
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23K19659
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川住 知弘 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (90893777)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | TTLL10KOマウス / チューブリンポリグリシン化 / 線毛ヒト化 / 線毛運動機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「線毛ヒト化」である線毛軸糸の脱ポリグリシン化がもたらす生理機能を解明するため、TTLL10 KOマウスの気管線毛を用いて線毛運動の変化を解析し、低粘性条件下(1cP)では野生型と同等であることを見出した。線毛運動に関しては線毛の尖端を墨汁染色で標識し、高速カメラを接続した倒立顕微鏡で線毛打頻度、線毛打振幅、線毛打非対称性を比較定量解析し、全ての項目で有意差がないことが示された。この発見は、気道粘液が低粘性になり得る疾患モデルを解析する際に野生型マウスがヒトの線毛機能を再現できる可能性を示唆する。本研究はアレルギー性鼻炎による粘液線毛クリアランス機能低下のメカニズムを解明することを目的とし、「線毛ヒト化」マウスを用いて疾患モデル解析を行うことを予定しており、高粘性条件下での追加実験を要すると考えている。 また、線毛軸糸ポリグリシン化の生理機能を評価するため、ヒト気道上皮細胞を「非ヒト化」し、線毛運動を解析する必要がある。そこで気液界面培養法を用いてヒト気管上皮由来の気道上皮細胞を線毛分化させ、TTLL10の過剰発現を試みた。遺伝子導入に関しては導入効率の観点からウイルスベクターを用いることとした。未分化時にレンチウイルスベクターを用いてTTLL10-EGFP遺伝子を導入し、目的遺伝子が導入されたことを確認した。今後、TTLL10遺伝子をノックインしたヒト気道上皮細胞を分化させ、線毛軸糸のポリグリシン化を確認し、上記と同様の方法を用いて、線毛運動を解析する追加実験を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「線毛ヒト化」マウスの気道において、低粘性条件下での線毛運動が野生型と同等であることを見出し、チューブリンポリグリシン化の生理機能の一端を解明した点で、当初の計画通りの成果と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
脱ポリグリシン化の生理機能に関しては、高粘性条件下でTTLL10 KOマウスと野生型マウスの線毛運動における相違を検証する。ポリグリシン化の生理機能に関してはTTLL10遺伝子をノックインしたヒト気道上皮細胞を線毛分化させ、線毛軸糸のポリグリシン化、線毛運動の変化について検証する。その後、TTLL10 KOマウスのアレルギー性鼻炎モデルを作製し、粘液線毛クリアランス機能について検証する。
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Causes of Carryover |
当該研究費における次年度使用額が生じた理由として、①試薬がCOVID-19パンデミックによる影響で海外からの輸入・納品に時間を要したこと、②他研究費の分担者となり、予算が多くなったため、本予算の使用が抑えられたことが挙げられる。 結果的に生じた次年度使用額については、令和5年度に得られた発見を発展させるための追加実験などに使用する。
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