2023 Fiscal Year Research-status Report
膝蓋下脂肪体由来軸索伸長因子を介した新規変形性関節症疼痛機構の解明
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23K19662
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
迎 学 北里大学, 医学部, 助教 (00979982)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 膝蓋下脂肪体 / 軸索伸長制御因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
膝蓋下脂肪体(infrapatellar fat pad; IPFP)には多数の神経線維が存在することから膝痛へ関与する可能性が示唆されている。 近年、 Netrinなどの軸索伸長制御因子が変形性関節症の疼痛に関与することが明らかになってきた。しかし、膝蓋下脂肪体における発現細胞やその制御機構は明らかになっていない。本年度はOA患者のIPFPにおける軸索伸長因子の発現細胞とその制御機構を評価することを目的とした。OA患者より人工膝関節全置換術時にIPFPを採取した。コラゲナーゼ処理後、 抗CD31, CD45抗体を用いて血球系細胞、血管内皮細胞、間質細胞分画を採取した。リアルタイムPCRを用いて各分画における軸索伸長制御因子(Netrin, SEMA, SEMA family)を用いて検討した。また、培養した間質細胞にTNF-α, IL-6, IL-17, TGF-β を添加し、軸索伸長制御因子の発現を検討した。間質細胞分画は血球系細胞分画、血管内皮細胞分画に比べNetrin1, Slit2を含む複数の軸再伸長制御因子を高発現していた。また、間質細胞におけるそれらの発現はTNF-aの添加によって誘導された。近年、Netrin 1は変形性顎関節症患者で増加し、疼痛に関与することが報告されている。また、がん関連線維芽細胞はSlit2の産生を介してはがん性疼痛に関与することが報告されている。一方、IPFPの炎症は膝痛に関与することが報告されいている。本研究結果から、間質細胞は炎症下にTNF-αを介して軸索伸長制御因子産生誘導し、疼痛に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、膝蓋下脂肪体における軸索伸長制御因子の発現細胞とその制御因子を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
IPFPにおける軸索伸長制御因子の発現とOA病態との関連性を検討する。また、これらの感覚ニューロンに対する作用を明らかにする。
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[Presentation] 膝蓋下脂肪体における軸索伸長制御因子の発現細胞の同定とその制御機構の検討2023
Author(s)
植草 由伊, 内田 健太郎, 塚田 亜裕美, 迎 学, 相川 淳, 岩瀬 大, 高田 研, 大貫 裕子, 宮城 正行, 井上 玄, 高相 晶士
Organizer
第38回日本整形外科学会基礎学術集会