2023 Fiscal Year Research-status Report
滑膜平滑筋様細胞を介した変形性関節症疼痛機序の解明
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23K19676
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大橋 慶久 北里大学, 医学部, 助教 (80979980)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 筋線維芽細胞 / 変形性関節症 / 疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性関節症(OA)の滑膜組織で滑膜線維芽細胞 (Fb)は主たる構成細胞である。いくつかの基礎研究から Fb の OA 疼痛病態への関与が報告されている。しかしな がら,疼痛関連のFbサブセットの詳細は不明である.近年, 皮膚免疫研究から CD39+Fb が線維化・瘢痕化に関与す ることが明らかになった.OA 滑膜における CD39+細胞に着目して,そのサブセットの特徴と疼痛病 態への関与を検討した。OA 患者 25 例から人工膝関節置換術中に滑膜組 織を採取し,実験試料として使用した。フローサイトメトリーを用いて,Fb 分画(CD45-CD31-CD90+)中の Fb 関連マーカー(CD55, CD39)におけるサブセット解析を 行った。各サブセットの割合と visual analog scale (VAS) で評価された術前安静時痛と活動時痛との相関を調査した。各 3 例で得られた各サブセットをセルソーティングで 採取し,RNA-Seq 解析,LC-MS によるプロテオーム解析 を行った。フローサイトメトリーから CD39+CD55-細胞, CD39-CD55+細胞および CD39-CD55-細胞からなる 異なるサブセットを同定した.CD39+CD55-サブセットの割合と安静時および動作時 VAS との間に正の相関を認めた。RNA-Seq およびプロテオーム解析では,CD39+ CD55-サブセットにおける CNN1, MYH11 等 の筋線維芽細胞マーカーの発現がその他サブセットと比較 して高かった。CD39+CD55-サブセットは疼痛と関連し,筋線維芽細胞マーカーを高発現していた。OA 滑膜における CD39+CD55-サブセットは筋線維芽細胞様の表現型を有する疼痛関連サブセットである可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
滑膜組織における筋線維芽細胞の表現型と疼痛との関与を明らかにした。概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
滑膜線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化機構を明らかにする。
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Causes of Carryover |
フローサイトメトリー用の抗体の購入が遅れたため、次年度使用額が生じた。次年度に抗体購入に使用する。
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[Journal Article] CD39+CD55- Fb Subset Exhibits Myofibroblast-Like Phenotype and Is Associated with Pain in Osteoarthritis of the Knee2023
Author(s)
Tsuchiya M, Ohashi Y, Kodera Y, Satoh M, Matsui T, Fukushima K, Iwase D, Aikawa J, Mukai M, Inoue G, Takaso M, Uchida K
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Journal Title
Biomedicines
Volume: 11
Pages: 3047
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] 変形性膝関節症における疼痛関連滑膜線維芽細胞サブセットの同定とそのマルチオミクス解析2023
Author(s)
大橋 慶久, 内田 健太郎, 土屋 真穂, 塚田 亜裕美, 福島 健介, 迎 学, 岩瀬 大, 相川 淳, 小寺 義男, 井上 玄, 高相 晶士
Organizer
第38回日本整形外科学会基礎学術集会