2023 Fiscal Year Research-status Report
Wnt/β-cateninシグナルによるセメント質再生と歯根膜インプラントの開発
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23K19685
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小野 喜樹 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (30983704)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | Wnt/β-cateninシグナル / セメント質 / 歯根膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,マウス臼歯の腎被膜下への移植による異所性の歯周組織再生モデルを用いて,網羅的遺伝子発現解析によりセメント質形成への関与が示唆されたWnt/β-cateninシグナルの亢進により,人工材料の表面にセメント質を形成することを目的としている. 今年度では以下の研究を行った. ①Wnt/β-cateninシグナルを恒常的に亢進させたマウスの臼歯を同腹の野生型マウスの腎被膜下に移植したところ,セメント質の添加が有意に促進された.一方で、Wnt/β-cateninシグナルを抑制するマウスの臼歯を同腹の野生型マウスの腎被膜下に移植したところ,セメント質の添加が有意に抑制されたことから,Wnt/β-cateninシグナルはセメント質の形成を制御することが明らかとなった. ②本研究では,Wnt/β-cateninシグナルを亢進させたマウスの臼歯から採取した歯根膜組織から作製した歯根膜細胞シートを人工材料の表面に貼付する必要があるため,歯根膜細胞シート作製のプロトコールを確立する必要がある.野生型マウスの臼歯から採取した歯根膜細胞を,温度応答性の培養皿(UpCell, CellSeed)上で培養することで,歯根膜細胞シートの作製のためのプロトコールを確立した.また、野生型マウスの臼歯から採取した歯根膜細胞を用いて製作した歯根膜細胞シートを,脱細胞処理したマウス臼歯に貼付して腎被膜下移植を行い,組織解析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画に則り,当初の予定通り以下の3つの研究を進め,データが得られた. ①Wnt/β-cateninシグナルの制御によるセメント質形成への影響の解析 ②歯根膜細胞シート作製プロトコールの確立 ③野生型マウスの臼歯から採取した歯根膜細胞を用いて製作した歯根膜細胞シートを,脱細胞処理したマウス臼歯に貼付して腎被膜下移植を行い,組織解析
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画に従い,令和4年度に行う予定である「Wnt/β-cateninシグナルがインプラント表面のセメント質再生に及ぼす影響の解析」ならびに「インプラント体表面におけるセメント質の再生を担う細胞の系譜解析」を行う. Wnt亢進マウスの臼歯から採取した歯根膜細胞を用いて歯根膜細胞シートを調整する.これをHApまたはTiインプラントの表面に貼付して腎被膜下に移植し,インプラント体表面における歯周組織の再生能を組織学的に解析する.また、Cre/loxPシステムにより,特異的な遺伝子プロモーター活性のもとで細胞標識が可能なマウスを用いて時空間的な細胞動態の可視化を行い,セメント質の再生に寄与する細胞とその分化機序を明らかにする.
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Causes of Carryover |
次年度において研究試薬の購入や動物実験施設委託費用における支出が増加する見込みであったため,次年度使用額が生じた.研究試薬の購入に使用する予定.
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