2023 Fiscal Year Research-status Report
歯肉局所のインスリン抵抗性改善による糖尿病関連歯周炎の革新的治癒促進法開発
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23K19696
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀬々 起朗 九州大学, 大学病院, 助教 (60982626)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 肥満・糖尿病関連歯周炎 / インスリン抵抗性 / 血管内皮細胞 / インスリン感受性改善薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
メトホルミンとイメグリミンの至適濃度を確かめるため、in vitroでは高血糖培地にて培養したマウス腎小血管内皮細胞株(TKD2細胞)とマウス初代肺胞内皮細胞にメトホルミンとイメグリミン(100nM、250nM、500nM)を添加し、24時間後インスリン刺激を行った場合のAktのリン酸化はメトホルミン・イメグリミンともに250nMで最もAktのリン酸化が亢進していることが確認された。 一方、60%高脂肪食を8週間付与した14週齢のC57B/6Jマウスにメトホルミン(50mg/kg、150mg/kg、250mg/kg)を両側上顎第二臼歯周囲に歯肉内投与を1週間行いex vivoにて歯肉にインスリン刺激を行った場合、250mg/kgのメトホルミンを歯肉内投与をしたマウスの歯肉のAktのリン酸化が最も亢進していることを確認した。 現在、血管内皮細胞特異的インスリン受容体欠損(VEIRKO)マウスと同腹仔WTマウスの上顎第二臼歯を7-0絹糸結紮を2週間行い、その後250mg/kgのメトホルミンを1週間歯肉内投与を行った場合の歯槽骨吸収量の変化と結紮周囲歯肉の遺伝子変化、好中球浸潤、破骨細胞数の変化について検討の準備を行っている。この結果に踏まえ、骨吸収後にメトホルミンやイメグリミンを歯肉内投与した場合の最も骨吸収が回復した日数を追加で検討する予定である。In vitroでは高血糖培地にて培養されたTKD2細胞にてインスリンを処理する前に24時間メトホルミン処理を行い、LPSおよびTNFα刺激を場合のVCAM1発現をウエスタンブロットにて解析の準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
雄性のVEIRKOマウスと同腹仔WTマウスの出生が少なく、In vivoの実験に支障を来たした。現在は交配ペアを増やし、雄性のマウスの繁殖に成功したため、In vivoとex vivo実験の準備を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、マウスにメトホルミンとイメグリミン投与後の歯肉中の糖代謝・ミトコンドリア機能改善の評価を確認するためフラックスアナライザーを用いて酸素消費速度や細胞外酸性化速度の測定を行う予定である。 また、絹糸結紮を行ったマウスにメトホルミンやイメグリミンの投与を行った場合の遺伝子発現、電子顕微鏡での歯肉中のミトコンドリア形態や組織切片上のAkt,Erk,eNOSといったインスリンシグナルの比較を免疫蛍光染色にて行う予定である さらに60%HFDマウスの歯肉のメトホルミンやイメグリミン投与による創傷治癒促進効果について各条件の歯肉からRNAを抽出してRNA-Sequenceを行い、発現量の高い因子を選択し、その遺伝子をWTマウスの血管内皮細胞に過剰発現あるいはノックダウンを行い、血管内皮細胞の増殖能や代謝変化を確認する予定である。
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Causes of Carryover |
実験に使う費用が多くなった一方で、旅費やその他の費用は当初より少なくなったために差額が生じたと考えられる。差額は実験費またはマウス飼育費に補填する
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