2023 Fiscal Year Research-status Report
マイクロアブレージョンによる新たな接着修復治療の確立
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23K19757
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
廣兼 榮造 日本大学, 歯学部, 専修医 (80978768)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 白斑 / マイクロアブレージョン / エナメル質 / 表面性状変化 / 削合量 |
Outline of Annual Research Achievements |
エナメル質形成不全によって生じる白斑は,齲蝕リスクの増加とともに審美障害を引き起こし,症例によっては切削を伴う介入が必要となる。エナメル質の切削には,回転切削器具を用いた方法が広く普及している。形成不全部のみを選択的に除去することは困難であり,健全歯質の過剰な切削が懸念される。そこで,可及的に健全エナメル質を保護することを目的として,シリカ粉末含有ペーストで削合する,エナメルマイクロアブレージョンが提案されているが不明な点も多いのが現状である。そこで,申請者はマイクロアブレージョンによって処理したエナメル質の表面性状変化を,界面科学的モダリティおよび微細構造観察から把握するとともに,削合部へのエナメル質接着耐久性について検討することを目的とした。 初年度においては,マイクロアブレージョンによって生じた歯質の削合状態について検討した。エナメルマイクロアブレージョンには,6.6%塩酸+シリカ粉末をペーストおよび35%リン酸エッチング剤+ Pumiceを用いた。ヒトエナメル質唇側を耐水性研磨紙の#600まで研削したものを研削群,表層エナメル質を研削しないものを未研削群とした。次いで,唇側中央部に直径4 mmの穴の開いた円形ビニールテープと貼付し,削合面とした。これらの削合面に対し,供試材料を貼付し,ブラシ付き研磨カップを用いて,回転数500 rpm,垂直圧0.2 kgfの条件で30,60あるいは120秒間削合を行った。これらの面について共焦点レーザー顕微鏡を用いて最大削合深さ,削合量および表面粗さRa (μm)を求めた。削合面のSEM観察を行った。 その結果,いずれの方法においても切削群は,未研削群に比較して高い表面粗さおよび削合深さを示した。これはエナメル質表層に存在する無小柱エナメル質の影響が考えられた。また,削合時間の延長に伴い,削合深さおよび表面粗さは高くなる傾向を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたマイクロアブレージョン後のエナメル質接着耐久性については,研究は進展していないものの,マイクロアブレージョンによって生じたエナメル質表面の性状変化については,詳細を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究計画は,接着耐久性試験とともにマイクロアブレージョンによって生じた表面性状変化を界面科学的なアプローチから解明する。すなわち,接着耐久性については,マイクロアブレージョン後のエナメル質に対してユニバーサルアドヒーシブを用いて製作した試験片に温熱負荷を加え,その接着強さを測定するものである。また,界面科学的なアプローチについては,マイクロアブレージョン後のエナメル質の表面自由エネルギーを測定することでヌレ性変化を把握する。これらについては,準備は万全である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額として僅かであるが21,738円が繰り越された。この理由としては,購入予定であった物品の値段と残高に差異が生じた為,購入を断念した。この 物品に関しては,次年度の予算と合算することで購入が可能である。
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Research Products
(3 results)