2023 Fiscal Year Research-status Report
第1子乳児を育児中の母親の育児ストレスの解明と子育て支援プログラムの効果の検討
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23K19784
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Research Institution | Momoyama Gakuin University of Education |
Principal Investigator |
原田 大輔 桃山学院教育大学, 人間教育学部, 教授 (40981460)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 子育て支援 / BPプログラム / 生涯学習理論 / 人格発達論 / ピアレビューできる仲間 |
Outline of Annual Research Achievements |
全国調査を行う前の先行的な研究としてJCHO大阪病院で同様の形式での調査は一部完了した。そのデータは以下のごとく解析した。 【目的、対象と方法】この調査では、親子の絆づくりプログラム‘赤ちゃんがきた’(Baby program、以下BP)が参加者に与える中長期的効果を検証する目的で、BP終了後の参加者にアンケート調査票を送付し、その結果を集計して検討しました。対象は期間内にJCHO大阪病院で開催した合計10回のBPに参加した合計163名の母親、およびコントロール群として乳児期後期の第一子を子育て中のBP不参加の母親127名。回答を求めた時期ごとの対象者数は、BP参加前・直後が38名、BP参加半年後が30名、BP参加1年後が33名、BP参加2年後が62名であった。調査票の回収率は全体で65.0%であった。 【結果と考察】「普段会ったり話したりするママ友がいるか」との問いには、参加前後に「いる」との回答は約半数だったが、参加半年後には92.0%に上昇した。これは同時期(乳児期後期)のBP不参加の母親(58.3%)を大きく上回った。この結果から、BP参加者はプログラム参加後から半年後まで、仲間づくりが継続して促進されたことが示された。次に「BP参加者との、プログラム以外での交流があるか」を問うた。「交流している」と回答したのは、参加直後は48.5%であったが、参加半年以後には約9割になり、参加2年後にも95.5%の参加者どうしの交流が続いていることが判明した。これから参加者どうしの交流は、プログラム中の4週間のみならず、少なくとも参加2年後まで継続されていることがわかった。今回の調査で、BPの「子育て仲間づくり」への効果は、プログラム実施中のみならず、プログラム終了後も長期的に持続していることがあらためて示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国調査を行う前の先行的な研究としてJCHO大阪病院で同様の形式での調査は一部完了し、以後研究は継続中である。全国調査の実施に関して、先行的に行っていたJCHO大阪病院での調査し使用した調査票などの形式を全国調査へ応用する予定であった。しかし、JCHO大阪病院での調査を行う際には、書面で同意をえる形式をとっており、また調査票を郵送して記入済みの調査票を切手貼付済みの返信用封筒を使用して投函してもらう形式をとっていた。研究グループで会議を重ねた結果、これらの調査方法は、手続きが煩雑になり、コストがかさむことから、5000人規模を対象の全国調査への応用が困難であることが判明した。そこで、書面同意を得ずに調査する形式、およびWebを通じた回答を収集できる形式を模索した。まず、同意書を廃止して調査に回答してもらうことで同意をしたこととみなすように説明書を変更する旨を同院医学倫理委員会に提出した。また、調査票をGoogle Formsを使用する方針とし、質問紙内の質問をすべて記載できるように6種類(参加前、参加後、参加半年後、乳児期前期、乳児期中期、乳児期後期)のFormsとそれに対応する回答用QRコードをそれぞれ作成した。調査の説明書に該当するQRコードを掲載して新規の調査票として、同倫理委員会に提出した。審議の結果、それらの形式で調査を行うことに関して倫理的に承認を得た。これらの手続きと審議に時間を要したため、研究計画がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本調査のデータセンターを設置した桃山学院教育大学の倫理委員会に、JCHO大阪病院での調査と同様の書式と倫理審査結果を添付して、全国調査目的の倫理審査を行う予定である。説明書・調査票を兼ねた案内文、データ回収用ファイル、データ解析用ソフトウェアはすべて準備が完了している。また、COVID19感染症拡大のため一時的に落ち込んでいた全国でのBP開催数およびBP参加者数の落ち込みは、2023年度は回復傾向が続いており、今回の調査で想定しているサンプルサイズであるBP参加者5000人を十分に見込める予定である。さらにBPの開発元であるNPO法人こころの子育てインターねっと関西事務局との連携もスムーズにできており、倫理審査終了し次第調査を開始できる予定である。
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Causes of Carryover |
上記のごとく研究の進行がやや遅延している影響で、本格的な調査の開始後の経費として計上していた予算が次年度使用額として生じた。2024年度に倫理委員会承認後すぐに調査開始できることが想定できており、調査開始し次第順次使用する計画である。
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Research Products
(3 results)