2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of clinical reasoning model in the era of multimorbidity
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23K19829
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮地 純一郎 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (40980537)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | マルチモビディティ / 臨床推論 / 紹介 / 家庭医療学 / 医学教育学 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢社会において、複数の慢性の健康問題を抱えた状態、すなわちマルチモビディティを持つ患者のケアは重要な課題である。しかし、医師の問題解決アプローチである臨床推論の既存のモデルは、単一の健康問題の診断と対処が想定されたものとなっており、マルチモビディティを持つ患者の問題解決に用いられるアプローチを十分に反映していないと考えられる。 本研究の目的は、医師がマルチモビディティを持つ患者の診療で、どのような事態に直面し、どのようなことを加味して、どんな基準で判断し、どのように対処を決めているのかを、実際の臨床経験から分析し、マルチモビディティを持つ患者における臨床推論の枠組みを記述することである。 研究は、日常的に慢性的な健康問題を臓器にとらわれず対応する必経験を積んでいる家庭医療専門医・総合診療専門医・在宅医療専門医に対するインタビュー調査および補助的フィールドワークを行う計画である。 2023年度は、マルチモビディティの診療についてのインタビューを2名に対して実施し、補助的フィールドワークを1回実施した。インタビューの分析からは、マルチモビディティ患者における医師の臨床推論は、直面している状況によって、どの程度健康問題の相互関係を加味されるか、そして、患者の社会的文化的背景を考慮されるかが変わることが見出された。また、医師自身が置かれている医療セッティングを含む社会的背景が影響することが見出された。様々な状況のうち、マルチモビディティを持つ患者について、プライマリ・ケアセッティングから後方病院への紹介を要した事例における臨床推論に焦点を当てて、分析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は研究計画に沿って、インタビューおよび補助的フィールドワークを実施することができた。インタビュー、補助的フィールドワークのいずれも予定していた人数・回数より少なかったが、既に行ってきたインタビューデータと合わせて、プライマリ・ケアに従事する臨床医が外来診療・救急外来・訪問診療のセッティングにおけるマルチモビディティ患者の診療の経験についてデータを概ね収集できた。また、データ分析のための枠組みを抽出し、分析結果の原案の作成に取り掛かることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、追加のインタビュー調査およびフィールドワークを行った上で、分析結果を整理し、国内外の学会での情報収集および発表、その後の論文投稿を予定している。また、紹介を要した事例以外のマルチモビディティ患者における臨床推論についての調査・分析についても行う予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度はインタビュー調査およびフィールドワークについて予定していた人数および回数を行えなかったため。 2024年度は、追加のインタビュー調査および補助的フィールドワークを行いつつ、国内外の学会での当該分野の研究の情報収集を行い、研究結果の国内外での学会発表および論文投稿を行う予定である。
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