2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a remote physical activity management program specifically designed to protect renal function in patients with acute coronary syndrome
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23K19837
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 聡見 福島県立医科大学, 保健科学部, 助教 (60980696)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 急性冠症候群 / 腎機能 / 身体活動 / 心臓リハビリテーション / 腎臓リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、急性冠症候群(ACS)患者の腎機能変化に対する身体活動強度や頻度の影響を明らかにするために、「ACS発症後3か月間の中高強度の身体活動(MVPA)の時間および週頻度が腎機能改善に与える影響」を検討した。 【方法】対象は、 ACSを発症した患者87例(男性75例,平均年齢65.2±12.5歳)とした。シスタチンCベースの推定糸球体濾過量(eGFRcys)を退院時と退院3ヵ月後に収集した。1日あたりのMVPAは3軸加速度計を用いて3ヵ月間測定した。主解析では、一般化推定方程式(GEE)モデルを用いて、30分以上のMVPAに従事する週頻度(0日群/1-2日群/3-7日群)がeGFRcysの変化に及ぼす影響を評価した。GEEモデルの共変量としてベースライン時の年齢、性別、eGFR、グルコース、トリグリセリド、収縮期血圧、および左室駆出率を採用した。追跡期間中のeGFRcysの変化に対する週30分のMVPAの実施日数の影響を調べるために、群と時間の交互作用項をモデルに含めた。 【結果】MVPAの実施日数に基づく患者の群分けは、 0日群(n=20)、1-2日群(n=14)、3-7日群(n=53)であった。GEE解析の結果、3ヵ月間のeGFRcysの勾配は0日群と比較して3-7日群で有意に高かった(B=2.9(95%CI: 1.5-4.2), p < 0.001)。尚、MVPA時間の閾値を40分と60分に設定した場合も同様の結果が得られた。 【結論】本研究結果から、ACS発症後に週3日以上の頻度で30分以上のMVPAに従事することは、腎機能の低下抑制に有意に正の影響をもたらす可能性が示唆された。この成果は、Heart and Vesselsに投稿し、2024年1月にオンライン公開された。 (Sato T, et al.Heart Vessels. 2024;39:393-403)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記に報告した観察研究に関しては、順調に進行し、2023年度中に研究の実施および論文投稿まで終えることができた。一方、2024年1月から開始予定であった「オンライン技術を活用した遠隔的な身体活動管理支援による腎保護効果の検証」に関する研究については、本学にて倫理審査の承認を得るまでに時間を要し、2024年3月からの開始となり、主に2024年度中に実施する研究計画として一部修正を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度ならびに以前の研究で明らかになった「ACS患者の腎機能の改善に好影響を与える身体活動の量や強度、頻度」を基に、腎保護に適した身体活動管理の指針を開発し、オンライン技術を活用した遠隔的な身体活動管理支援による腎保護効果を検証する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況として報告した通り、研究①の観察研究は順調に進行した一方で、研究②の介入研究に関しては倫理審査の承認を得るまでに時間を要し(2024年2月末承認)、実際の研究開始が2024年度となった。そのため、研究②で使用するオンラインの遠隔身体活動管理システムの使用料や各物品調達の費用の支払いを2024年度に繰り越す必要性が生じた。
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