2023 Fiscal Year Research-status Report
慢性呼吸器疾患をもつ人の生活機能における活動と参加の評価に対する看護支援の検討
Project/Area Number |
23K19847
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Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
由雄 緩子 関西福祉大学, 看護学部, 講師 (60632461)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 生活機能 / 慢性呼吸器疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性呼吸器疾患の患者は、気流障害を呈する呼吸機能の低下により、呼吸困難感や活動制限などを認める(厚生労働省,2021)。薬物療法、在宅酸素療法や呼吸リハビリテーションなどの治療は発展しつつあるが、有病率は40歳以上の8.6%と推計されている(福地ら、2004)。その症状は患者の生活そのものに影響を及ぼし、療養生活環境を取り巻く課題は複雑で、実態に即した効果的な呼吸ケアの評価と一層の充実が望まれている。本研究の先行研究として、慢性呼吸器疾患における生活機能の評価に対する尺度開発(科研:若手B)及び、慢性呼吸器疾患を持つ人の生活機能に対する評価尺度の信頼性と妥当性の検討(科研:若手B)をテーマに評価尺度の開発を手がけた。本研究では、慢性呼吸器疾患患者の生活機能の評価に対し、患者の活動や社会への参加に焦点を当て、臨床で使用可能とするための評価用具の修正として、質問肢の認知テスト及び信頼性と妥当性の確認を行い尺度の精錬することを目的としている。 本研究の学術的特色は、慢性呼吸器疾患看護の領域において、息苦しさや生活の不自由さを軽減させるために、日常生活の生活機能の活動や社会への参加を測定する点である。具体的には、先行研究を基盤とした慢性呼吸器疾患をもつ人の生活機能を評価する尺度について、質問肢の認知テスト及び信頼性と妥当性の確認を行い、患者の活動や社会への参加に焦点を当てた臨床で使用可能な尺度の精錬を行う。 2023年度は、先行研究を基盤とした慢性呼吸器疾患の生活機能を評価する尺度について、慢性呼吸器疾患の専門病院に通院する患者に生活機能尺度の質問肢の認知を聞き取り調査にて確認を行うこととした。複数の施設で調査を行うこととしており、生活機能の質問肢を改めて内容の確認を行い、実際の聞き取りの準備段階をすすめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、先行研究の成果をもとに、慢性呼吸器疾患患者の生活機能の評価に関して患者の活動や社会への参加に焦点を当てた臨床で使用可能な評価用具のための修正に向けて調査を継続することが課題となった。しかし、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、研究の対象者である慢性呼吸器疾患患者や医療者に対して調査、研究を進めることが困難になった。 本研究は、慢性呼吸器疾患をもつ患者よりデータ収集を行うことが不可欠であり、研究対象者の依頼については、呼吸器疾患の特性上、患者の体調には起伏があることが多く、特にCOVID-19感染防止に対して配慮を行った上で進めている。そのため、研究協力施設の定める方針に従い、研究対象者が不安を感じることがないよう呼吸器内科医師や看護師へ相談、協力を得ながら進める必要があり、研究の環境を整え、協力を得ることにやや時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
先行研究を基盤とした慢性呼吸器疾患の生活機能を評価する尺度について、慢性呼吸器疾患の専門病院に通院する患者に生活機能尺度の質問肢の認知に関する聞き取り調査を行う準備が整いつつあるため、複数の施設で5~6名程度の調査を行う。また、慢性呼吸器疾患をケアする看護師からデータ収集し、信頼性と妥当性の検討を行い、質問肢を改善する。認知テストにて表現が不明瞭であったり、誤解を生じると判断された質問肢の修正を行う。その際には、慢性病看護、慢性呼吸器疾患や尺度開発の専門家の助言を受けながら修正を行う。 本研究は、先行研究の成果である慢性呼吸器疾患患者の生活機能の評価に関して実施するものであるため、内容については、既に構築された枠組みをもとに実施することが可能である。研究協力施設は、これまでに協力を得ている呼吸器疾患に関する研究を多角的に行っている慢性呼吸不全専門機関の使用が可能であると共に呼吸器内科医師、看護師と連携が得られる予定である。さらに、ICF Core Sets for COPDの開発者への指導を得ながら既存の評価尺度において、修正すべき項目について検討を行っているが、時間の短縮のため、オンラインでのやり取りを中心に開発を進めることとしている。
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Causes of Carryover |
2023年度では、データ収集の準備を要したため、支出が予定より減額した。今後は、速やかにデータ収集を開始し、ほぼ当初の研究計画通りの研究費が必要となる見込みである。 慢性呼吸器疾患における療養生活を研究対象である専門家と患者にインタビューを得るため、インタビューで得られた音声データは、文字変換を行い、研究の精度を高めるためにテキストマイニング行う。分析には、テキストマイニングのための解析ソフトや専用のパソコンを用意し、データ収集の際に使用するレコーダーや記録媒体、データ収集や最新の知見を得るための図書のためにかかる経費、データ管理・分析のための文具等を用意する。 研究の対象である対象者の選定は専門医療機関の紹介を中心に実施することから、十分な研究対象者を得るには、全国規模で実施する必要があり、調査に関連した費用が必要となる。また、インタビューで得られた音声データは、文字変換作業が必要となるが、研究を効率的に進めるためにこの作業は外部発注することから費用を支出する。 また、本研究がICFの国際機能分類を使用しており、その概念を基にした概念の洗練に関して、先行研究から指導を得ながら進める予定であり、そのための通信費及び旅費が必要である。調査や研究成果の発表は国内外に予定しており、参加費や旅費、翻訳料を支出する。その他、研究に関する資料や研究成果公表のための費用を使用する予定である。
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