2023 Fiscal Year Research-status Report
Overcoming cancer sarcopenia by targeting microRNAs
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23K19900
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
緒方 瑠衣子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40984688)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | 長鎖脂肪酸 / 乳癌 / 受容体発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画と異なるが、長鎖脂肪酸の乳癌細胞に対する影響を検討した。長鎖脂肪酸について、これまでにマイクロRNA発現に影響をあたえ癌細胞にドーマンシーを誘導することを発表している。長鎖脂肪酸(LCFA)はいくつかのがん細胞に対して細胞増殖や幹細胞性誘導に影響を及ぼすことが報告されているが、各々の作用についての詳細や差異は明らかでない。とくに、乳癌は脂肪酸代謝と強く関連していることが知られており、脂肪酸のβ酸化や合成経路の異常は癌細胞の増殖や浸潤、幹細胞性亢進をもたらし、特にトリプルネガティブ乳癌(TNBC)においては治療抵抗性や予後に影響を与える。そこで、今回われわれは2種の乳癌細胞株(MCF7, luminal typeおよびMDA-MB-231, TNBC)を用い、5種類のLCFA(リノール酸(LA)、オレイン酸(OA)、エライジン酸(EA)、パルミチン酸(PA)、αリノレン酸(ALNA))を用いて、癌細胞に対する影響を検討した。その結果、、細胞増殖活性はいずれの脂肪酸においても抑制がみられた。特にLAは両細胞株に最も強い抑制効果をもたらしたのに対し、PAは増殖抑制がMCF7よりもMB231に強く認められた。逆に、EAはMCF7に強い増殖抑制を示した。幹細胞性については両細胞株において脂肪酸処理で幹細胞性の著明な低下がみられた。このことから、5種のLCFAは乳癌細胞の増殖や幹細胞性に影響する可能性が示唆された。今後、長鎖脂肪酸によるマイクロRNAへの影響も検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定とは異なるが、興味深い知見を得ており、今後の展開が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、長鎖脂肪酸の乳癌細胞の受容体発現への影響を詳細に検討し、その機序におけるマイクロRNAの関りを解明する予定である。
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Causes of Carryover |
マイクロRNAに関する実験が次年度回しになったためである。
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