2023 Fiscal Year Research-status Report
スパイキングニューラルネットの脳波データ同化によるヒト立位姿勢制御脳内機序解明
Project/Area Number |
23K20004
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 晃大 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (70967778)
|
Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
Keywords | スパイキングニューラルネットワーク / 脳波 / 運動制御 / 間欠制御 / データ同化 / スパイクタイミング依存的可塑性 / ベータリバウンド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的はスパイキングニューラルネットワーク(SNN)を制御器として,ヒト立位姿勢倒立振子モデルを安定化する運動学習モデルを構築し,SNNの出力から再構成された擬似脳波が申請者が同定した姿勢制御関連脳波の特徴を再現するという拘束条件を満たしつつ,振子の姿勢を安定化する学習戦略(強化学習の報酬関数等)を構成論・計算論的に明らかにすることである.そのために,ヒト立位姿勢間欠制御のSNNによる獲得(課題1)とニューロンの活動の線形和として計測脳波を再構成した際に運動時のベータ帯域振幅の減少と停止時の増加をよく説明できるのが間欠制御を獲得したSNNであることを示す(課題2)ことを目指している.間欠制御は足関節の能動的制御トルクを間欠的にオンからオフへと切り替える制御で,ヒト姿勢動揺の計測データをうまく説明できる制御である. 1年目の2023年度は課題1に対応する倒立振子を制御するSNNの学習を行い,ヒトで計測した姿勢動揺データと類似の特徴を生成するSNN制御器が獲得される条件を調べた.学習則として報酬に比例したスパイクタイミング依存的可塑性(R-STDP)を用いた.報酬は直立姿勢からの近さを反映する位置エラーの項と,制御に使用したエネルギーを反映する項の和とした.上記の下で間欠制御が獲得されるパラメータの探索を行った結果,制御時間遅れの長さに依存して獲得制御様式が持続的制御から間欠的制御へと遷移することを明らかにした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題はヒト立位姿勢間欠制御のSNNによる獲得(課題1)とニューロンの活動の線形和として計測脳波を再構成した際に運動時のベータ帯域振幅の減少と停止時の増加をよく説明できるのが間欠制御を獲得したSNNであることを示す(課題2)ことを目指している. 1年目の2023年度は課題1に対応する倒立振子を制御するSNNの学習を行い,ヒトで計測した姿勢動揺データと類似の特徴を生成するSNN制御器が獲得される条件を調べた.学習則として報酬に比例したスパイクタイミング依存的可塑性(R-STDP)を用いた.結果として制御時間遅れの長さに依存して獲得制御様式が持続的制御から間欠的制御へと遷移することを明らかにした. このようにヒト立位姿勢間欠制御のSNNによる獲得については順調に進めることができた. 現在は課題2の倒立振子を制御しつつヒト運動中にロバストに現れるベータ帯域の脱同期・同期の活動を再現するSNNの構築を行っている.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題はヒト立位姿勢間欠制御のSNNによる獲得(課題1)とニューロンの活動の線形和として計測脳波を再構成した際に運動時のベータ帯域振幅の減少と停止時の増加をよく説明できるのが間欠制御を獲得したSNNであることを示す(課題2)ことを目指している. 1年目の2023年度は課題1に対応する倒立振子を制御するSNNの学習を行い,ヒトで計測した姿勢動揺データと類似の特徴を生成するSNN制御器が獲得される条件について明らかにした. 今後は課題2の倒立振子を制御しつつヒト運動中にロバストに現れるベータ帯域の脱同期・同期の活動を再現するSNNの構築を行う.そのために,脳波ベータリズムの生成源の一つと考えられている皮質-基底核回路を模したネットワークを構築し,倒立振子制御課題を学習させることを目指す.
|
Causes of Carryover |
円安のため,国際学会や国際雑誌への研究成果の発表用の予算を残したため
|