2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of Sensory Cues Inducing Pseudo-Haptics and Establishment of Design Guidelines
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23K20007
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
平尾 悠太朗 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (50982766)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Keywords | Pseudo-Haptics / Virtual Reality / Cross-Modal Interaction |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は研究実施計画で掲げた2つの研究課題のうちの一つ,「Pseudo-hapticsの感覚手がかりにおいて,その意味的制約や,または意味的性質の違いによるPseudo-hapticsに対する効果量の差異はどのようであるか?」に関する検討を進めた.具体的には,本研究計画申請時に着手していた,疑似弾性知覚提示において1)物理身体とバーチャル身体の移動量調整,2)バーチャル物体の表面変形,そして3)触覚的振動という複数の手がかりを比較検討する実験について追加実験を行い,効果の検討を進めた.申請時点では,これら複数の手がかりやその組み合わせがそれぞれ疑似弾性知覚の強度に与える影響の大きさや,提示可能な最大,または最小の疑似粘性知覚に与える影響などを検討していた.これらに加えて2023年度は,上記のような疑似触覚手がかりの違いが,疑似粘性知覚の解像度,すなわちどれくらいの刺激の変化で異なる疑似粘性知覚を提示できるか,ということに対して与える影響を検討した.これら3つの実験を通して,運動にかかわる手がかり,物性に関わる手がかり,そして触覚的手がかりといった異なる種類の疑似触覚手がかりによって,疑似粘性知覚の生起にどのような違いが生まれるかが明らかとなり,これら技術を用いた疑似粘性知覚提示における設計指針を構築することができた.本研究結果は一部が2023年度3月に開催されたメディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎研究会 (MVE)で口頭発表されたほか,現在すべての結果を合わせ,当分野のトップジャーナルであるIEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics (TVCG) 投稿に向け執筆中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では疑似粘性知覚ではない他の感覚において,同じスキームで実験を行う予定であったが,検討の結果,疑似粘性知覚について追加実験を行うことで,実験スキームの更新と,議論の深化を図った.これにより,当初の予定とは多少異なっているが,手がかりの違いが疑似触覚に与える影響についてより多角的で有用な知見が得られた.2023年度で構築した研究基盤に立ち,2024年度は同様のスキームを用いて研究を加速できると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に行われた実験結果より,本研究計画書に記載した研究課題の1つめ「Pseudo-haptics の感覚手がかりにおいて,その意味的制約や,または意味的性質の違いによるPseudo-haptics に対する効果量の差異はどのようであるか?」に対して,疑似粘性知覚提示においては運動に関する視覚手がかりが最も支配的であり,次いで物性に関する視覚手がかり,そして触覚的振動の順で有効であることが示された.しかし,疑似触覚の手がかりとしては,インタラクション中の生理的な反応や聴覚的刺激等も考えられ,現時点では網羅的には探索できているとは言えない.2024年度はまず,着目した一つの疑似触覚(例えば硬さ)に対して,想起されうる疑似触覚手がかりをオンラインアンケートなどで広く集めて選定し,2023年度よりもさらに網羅的に手がかりの種類の影響を検討する.また,研究課題の2つめである「Pseudo-haptics の感覚手がかりにおいて,その量的制約や,または手がかりの量が各感覚手がかりの効果量に及ぼす影響はどのようであるか?」については,2023年度の研究結果では,3つの視触覚手がかりについては,手がかりが多い方がより疑似粘性知覚提示における効果が高いという結果が得られた.しかしこれについても,さらに手がかりの量を増やしたときの効果は不明である.そのため本課題についても,上記アンケートで選定した刺激を元に,2023年度に行った実験スキームを拡張する形で検討していく.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としてまず,2023年度は開発の速度を優先し,当初購入予定であったPCやVR用ヘッドマウントディスプレイを新しく導入することは行わず,ひとまず研究室が既に有している機材で対応したことが挙げられる.しかし,当プロジェクト用のVR用PCは既に動作が不安定になりつつあり,新たに購入する必要がある.2024年度の最初の研究はアンケートがメインの実験となる予定であるため,この,VR用PCが必要でない期間に当初予定していたVR周りの機材を購入し導入することで,開発を一旦停止することなく研究を円滑に進める計画である.また,旅費についても,2023年度は当プロジェクトに参加した修士1年生が主体となって進めていたが,国際会議発表に通すには至らなかった.しかし2024年度は2023年度の実験結果などを活かし,国際会議発表にも挑戦する予定である.
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