2023 Fiscal Year Research-status Report
Formation Processes of Heavy Elements in the Early Universe Elucidated by Superconducting Nanoelectronics, Large-Scale Numerical Simulations, and Data Science
Project/Area Number |
23K20035
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 孝太郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (80321587)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹腰 達哉 北見工業大学, 工学部, 助教 (00714164)
森脇 可奈 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60962321)
田村 陽一 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (10608764)
池田 思朗 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (30336101)
吉田 直紀 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (90377961)
|
Project Period (FY) |
2023-11-17 – 2030-03-31
|
Keywords | 輝線強度マッピング / 集積超伝導分光 / 疎性モデリング / 深層学習 / サブミリ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度となる2023年度は、2023年11月からの研究開始を受け、(1)集積超伝導分光技術の開発、(2) 大規模数値シミュレーションを含む理論的研究、(3) データ科学的な手法を駆使した観測および解析手法の開発、という3つの研究の柱を示すホームページを開設した。本国際先導研究の実働を担う若手研究者1名の雇用を速やかに開始し、さらに次年度からの雇用に向けた複数の公募開始等の手続きも進めた。集積超伝導技術を駆使して開発されたミリ波サブミリ波帯超広帯域分光装置DESHIMA2.0をチリ・アタカマ高地で稼働する口径10mのサブミリ波望遠鏡ASTEに搭載し、性能評価および試験観測を実施した。この試験観測で天体信号の検出および200GHz幅という超広帯域分光性能の天体信号を使った実証に成功し、さらに解決すべき技術的課題を洗い出すことができた。DESHIMA2.0は、本国際先導研究において実現する3次元分光撮像装置TIFUUNの基盤となる装置であり、次の開発に向けて非常に有用かつ重要な知見を得ることができた。この一連の活動においては、デルフト工科大学の研究者と共に日本からの若手研究者および博士課程大学院生がチリに滞在し、共同研究を進めることができた。また次の観測セッションの準備に向け、若手研究者をデルフト工科大学に派遣して共同研究を進めた。データ科学的手法を用いた観測および解析手法の開発については、2024年2月に研究会とそれに続くキックオフ会議を実施し、DESHIMA2.0で取得されたデータに対するスパースモデリングを使った解析手法の適用について検討を開始した。野辺山45m電波望遠鏡を使ったOn-The-Fly観測で取得したミリ波分光撮像データに対する適用の検討にも着手した。輝線強度マッピングの理論的研究の推進のほか、大学院生・若手研究者が主体となる検討会の立ち上げ準備も進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本国際先導研究の基軸の一つとなる集積超伝導分光技術の実装および科学成果獲得に向けたDESHIMA2.0の望遠鏡搭載と性能評価・試験観測が進展した。ここに若手研究者および博士課程大学院生も参画してデルフト工科大学・オランダ宇宙研究所SRONなどの研究者との共同研究が進んでいる。試験観測期間中に発生した望遠鏡の障害(副鏡制御系)のため、データ取得が限定的なものにとどまっていること、さらに実験室では見られなかった超過雑音が発生する事象が時折見られること、など、想定外の問題も起きている。しかし、これらを含めて、次のステップである3次元分光撮像装置TIFUUNの開発とそれを使った長時間観測の準備を進める上で、貴重な経験と知見が得られていると評価する。データ科学的手法を使ったDESHIMA2.0の実データに対する解析の検討や、輝線強度マッピングの理論的研究、また手法の理解を深め仕様作成に繋げる大学院生・若手研究者主導の検討会の準備が進んでことなども踏まえ、研究の進展は順調であると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
集積超伝導分光技術による科学的成果を挙げるため、超広帯域ミリ波サブミリ波超伝導分光装置DESHIMA2.0の性能評価および科学観測運用を本格的に行う。超広帯域分光特性を活かしたデータ科学的手法に基づく大気雑音分離手法の開発等も進める。これと並行して、3次元分光撮像装置TIFUUNの試作モデルの開発を進める。大学院生や次年度から雇用が本格的に進む若手研究者とともに、輝線強度マッピングや宇宙論数値シミュレーションの検討も進めていく。超伝導高分散分光観測装置LMT-FINERやアルマを使った高赤方偏移銀河からのスペクトル線観測の推進とあわせ、観測されたスペクトル線の解釈をより深めるためのツールに関するワークショップを実施する。キックオフ会議の開催を通して、こうした国際先導研究の内容を周知すると共に、この分野における若手研究者・大学院生の海外での活躍をさらに促す取り組みも進める。
|
Causes of Carryover |
研究環境整備費及び若手研究者・大学院生が使用する超伝導検出器実験開発のための設備整備については、DESHIMA2.0観測の進展や最新の技術的動向を踏まえ、より効果的な研究機器購入のための検討を進めている。また、若手研究者雇用については、より優れた研究者の獲得のため、複数の研究組織で雇用開始を2024年度からとした。こうした事情により、次年度使用額が生じている。2024年度においては、若手研究者の雇用を進めるとともに、選定した開発実験のための研究機器・設備の調達を進めていく。
|
Research Products
(19 results)