2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of the principles of structural changes of material and field in solids and plasmas under extreme conditions with high-power lasers
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23K20038
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
兒玉 了祐 大阪大学, レーザー科学研究所, 所長 (80211902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 典雅 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70432515)
千徳 靖彦 大阪大学, レーザー科学研究所, 教授 (10322653)
神門 正城 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光量子科学研究所, 副所長 (50343942)
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Project Period (FY) |
2023-11-17 – 2030-03-31
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Keywords | パワーレーザー / 高エネルギー密度状態 / エネルギー散逸機構 / 高圧物質材料 / 核融合プラズマ / 宇宙プラズマ / 粒子加速プラズマ / 粒子加速プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高エネルギー密度物質の構造変化に焦点を当て、高エネルギー密度状態の3つの領域に共通する一般性を明らかにすることを目指している。 研究領域Aでは、SACLA XFELを使用して以下の実験を実施しました。フランスのエコールポリテクニーク、ドイツのロストック大学、欧州XFELとの共同で、レーザー駆動超高圧下での密度の高精度計測、高エネルギー密度物質中の結晶粒成長のその場観察、パワーレーザーに同期した強磁場プラットフォームの開発などを行いました。さらに、GEKKOプラットフォームで得られたデータについてはスタンフォード大学、ロチェスター大学と議論し、次年度以降の研究計画も準備した。 研究領域Bは、パワーレーザーで駆動されるプラズマの電磁場生成や構造変化に焦点を当てている。B1(核融合プラズマ)は、核融合燃焼プラズマの運動論的効果について米国ローレンスリバモア国立研究所の研究者と議論を開始した。B2(宇宙プラズマ)は、ポーランドのジェロナグラ大学と協力し、パルサー磁気圏における高エネルギー粒子生成と電磁バーストの関連を研究を開始している。 研究領域Cでは、パワーレーザーによるガスや固体プラズマ中での粒子加速の研究を進める。C1班は薄いプラズマ、C2班は臨界密度付近のプラズマに注目し、シミュレーションによる初期値の違いから多様な構造変化を探る。今年度は、次年度に向けた共同研究チームを立ち上げ、C1班はチェコELI-BLと量研のJ-KAREN-Pを用いた実験を計画した。C2班はフランスLULIでのマシンタイム採択とルーマニアELI-NPでの実験計画を立て、実験の開始を予定している。 全体として、本研究は国際的な共同研究を通じて高エネルギー密度状態の多様な構造変化の理解を深めることを目指し、次年度の研究の基盤を築くための準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、次年度以降の本格的な活動開始に向けて準備を進めるとともに、各研究領域での計画立案が順調に進んだ。 全体:研究環境整備として、海外連携幹事機関との事業開始打ち合わせを行い、Web会議により参加者全員で全体会議を開催した。この会議では、本計画の方向性と方策について情報を共有した。また、高繰り返しレーザーを利用した若手専用の実験設備の準備を開始した。 研究領域A:フランスのエコールポリテクニーク、ドイツのロストック大学、欧州XFELとの共同実験を成功裏に終えることができた。高エネルギー密度物質中での結晶粒成長のその場観察や、強磁場プラットフォームの開発に関して貴重な実験結果が得られた。また、フランスでのウィンタースクールに博士課程学生を派遣し、成果報告および研究交流を行った。これらの成果を基に2023年度内に論文を投稿した。 研究領域B:R5年度は短期間ながらZoomなどのツールを活用して周到に準備を進めた。その結果、研究者を米国(2名)とポーランド(4名)へ派遣し、現地研究者と実質的な共同研究を開始した。また、Zoom会議を通じてフランスのボルドー大学と米国のカリフォルニア大学サンディエゴ校と次年度の派遣計画を議論した。 研究領域C:R5年度は全体のZoom会議で計画の共有と各人の紹介を行い、次年度以降の各グループの研究計画を立案した。Web会議を用いて、チェコのELI-Beamlinesでの実験提案や、ルーマニアのELI-NP、フランスのLULIでの共同実験の打合せを行い、次年度以降の本格的な展開の準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
全体的には、早期にキックオフ会議を開催し、領域をまたいだ議論を開始する。また、各領域のメンバーによる全体セミナーをリモートで定期的に開催し、領域を超えた情報交換を行うこととする。さらに、若手専用の実験設備を整備する予定である。 研究領域Aでは、SACLA XFELの実験プラットフォームを利用し、米スタンフォード大学、SLAC、仏ソルボンヌ大学を中心とした国際共同実験が計画されている。また、米ローレンスリバモア研究所での共同実験に参加するために、博士課程学生を派遣する予定である。阪大レーザー研究所では、仏エコールポリテクニーク、英オックスフォード大学と共同で実験を行う計画がある。さらに、米ゴードンセミナーなどに博士課程学生を派遣し、成果報告および研究交流を行う予定である。 研究領域Bにおいて、B1班(核融合プラズマ)はポーランド(Kudowa-Zdroj)に1名、フランス(ソルボンヌ大学)に2名、ドイツ(HZDR)に1名の研究者を派遣する計画がある。また、B2班(宇宙プラズマ)では、米国(コロンビア大学)に3名、カナダ(トロント大学)に3名の研究者を派遣する予定である。さらに、高エネルギー密度プラズマの夏の学校(米国ミシガン大学主催)に大学院生を派遣する計画も進行中である。 研究領域Cにおいて、C1班はJ-KAREN-Pでの若手参加実験を計画している。加えて、チェコでのX線発生実験も計画されている。C2班では、阪大およびQSTでの実験の他に、ルーマニアのELI-NPでの国際共同実験とフランスLULIでの国際共同実験を予定している。ただし、LULIでの実験は次年度にスライドさせることも検討中である。 これらの活動を通じて、各領域間の連携を強化し、若手研究者の育成を推進する。また、国際共同研究を通じて、最新の研究成果を共有し、全体の研究レベルを向上させることを目指す。
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Causes of Carryover |
各領域の共同研究などに関して、R5年度は実施期間が短く、外国への出張や実験の手配が間に合わなかったが、打合せにより実験期間の獲得ができているので、次年度に使用予定である。 全体の研究環境整備に関して、若手プラズマ実験プラットフォーム整備は、効率を上げるため既設レーザー装置を同一建物内のレーザー開発室に移動させる必要が生じた。それにともない、レーザー装置の移動に先立って新実験室のクリーンルームの空調設備整備が必須であり、またレーザー装置内の老朽化した部品の交換を行う必要があることが判明した。この作業をのために、立ち上げに予定以上に時間がとられ、レーザーを照射するガスジェットターゲットの整備と、その実験を行うための真空チャンバーの導入が遅れている。立ち上げ後の効率を考えるとより効果的・効率的であり計画期間におケル全体への影響は無く2023年度に計画していた物品は2024年度内に導入し、予算執行を完了する予定である。
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