2019 Fiscal Year Annual Research Report
Aspects of Everyday Life in Latin American Societies after Political Catastrophe
Project/Area Number |
18H03453
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石田 智恵 早稲田大学, 法学学術院, 准教授 (50706661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 奈々 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, その他(招聘研究員) (00731449)
近藤 宏 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 助教 (20706668)
内藤 順子 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50567295)
狐崎 知己 専修大学, 経済学部, 教授 (70234747)
柴田 修子 同志社大学, グローバル地域文化学部, 助教 (70573707)
細谷 広美 成蹊大学, 文学部, 教授 (80288688)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 内戦 / 軍政 / ラテンアメリカ / 日常性 / 暴力 / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、プロジェクトの研究成果公開に向けて国際学会でのパネル共同発表の準備を進めた。 また前年度に引き続き、メンバーがそれぞれの現地調査に注力した。分担者の狐崎は、グアテマラで内戦の被害が激しかった地域で、女性が主体となって組織した生活改善グループの聞き取りを行い、構造的暴力の比較分析のための枠組みと指標を抽出するとともに、内戦時の罪を問う裁判の進捗状況について、CICIG解体の影響を中心にフォローアップを行った。またグアテマラ及びエルサルバドル両国で内戦時代の人権侵害に関する調査、啓発活動を行っている犠牲者組織、人権団体、ジャーナリストらの殺害・迫害状況についてモニタリングと資料収集を行った。細谷はペルーの先住民人口が多い山岳部で、先住民と平和構築の関係についてインタビュー調査を実施したほか、メキシコでも記憶の博物館、美術館で資料収集を実施した。内藤はチリ、サンチャゴ市にて、軍政後に女性が展開してきた社会運動のうち人権運動(堕胎、雇用格差、貧困の女性化)の参加者への聞き取りを実施した。柴田はコロンビア、トゥマコ市において記憶ミュージアム建設の経緯、元FARC構成員による分離グループについて聞き取りを行なった。渡部はアルゼンチンにおいてカトリック女子修道会で参与観察、インタビューを実施した。近藤はコロンビアにおいて都市部避難先住民の暮らす居住地域を複数訪問し、行政機構や医療施設などの公的機関とのコミュニケーションにおける困難など、平和構築プロセスにおける先住民の現状について聞き取りを行なった。石田(代表者)は3月に予定していたブエノスアイレス調査を新型コロナウイルス感染症の影響から中止し、カタストロフ以降の喪や弔いの実践の理解を深めるため、国内の事例として第二次大戦後の沖縄戦後の死者・死体をめぐる人類学的研究や東日本大震災の津波被災者家族などに関する文献を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メンバーによる個々の現地調査は、一名を除き予定通り実施した。調査地の現状に即して必要な変更を加えつつ、それぞれの調査計画に沿っておおむね期待された進展がみられる。 また昨年度に続き、本研究プロジェクトと関係する調査地の研究者との交流・協力関係の構築も順調に進んでいる。この点について、狐崎はエルサルバドルで新恩赦法をめぐる審議と政治抗争について、現地協力者と綿密にコンタクトをとりながらフォローアップを行なっている。細谷はペルー調査時に紛争時の記憶の記録と継承に従事する博物館館長の歴史学者マヌエル・ブルガ博士と意見交換を行った。石田は招待を受けて参加したメキシコでの国際シンポジウムの機会に、暴力と身体の表象に関心を寄せる現代美術研究者であり創作者でもある横井川美貴氏(メキシコ、イダルゴ州立大学芸術研究所研究教授)らと交流した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトの研究期間は残り3年となる。5年間の総括として、ラテンアメリカ各地の研究協力者の寄稿を含む論文集の編纂を計画している。それに向けて、次年度となる3年目は、メンバー個々の現地調査に注力する最後の年度となる予定であったが、目下の新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、当初の調査計画の実施の見通しは定まらず、計画の変更が生じる可能性がある。可能な限り現地調査の実施を目指すが、調査実施が困難な場合は、次年度の方法を文献研究に切り替える。その際、これまでに収集したデータの分析、考察を進めるとともに、これまで以上に同テーマのラテンアメリカ内外の地域のさまざまな研究を精査するとともに、暴力・カタストロフとその後の社会を扱った文学やジャーナリズム作品、フィクション/ドキュメンタリーを問わず映像作品などの表象も積極的に検討の対象とし、議論の射程を深めるよう努める。研究会は適宜、ウェブ会議システムも併用してメンバー間の議論はこれまで通り定期的に行なう。
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Research Products
(11 results)